里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

巨樹の樹齢

2010年03月10日 | 花 木
3月6日の朝日新聞に、巨樹の樹齢の決め方について次の3方法が紹介されていた。
『①伐採して年輪を数える方法
 ②“生長錐”と呼ばれる空洞のある錐のような細い金属棒を幹の中心までねじ込んで
  引き出し、取り出した木片から年輪を数える方法
 ③放射性炭素年代測定法』

『これ等の方法の内、巨樹の伐採は論外だが、錐をねじ込む方法も木を傷める事にはか
 わりが無い。
 そこで、“放射性炭素年代測定法”の登場という事になる訳だが、この方法でも巨樹
 の中心部のサンプルが必要で、例えサンプルを取り出せたとしても、往々にして巨樹
 の内部は空洞化している事から、測定値の精度が問題になる』

『例えば縄文杉の場合、腐食した内側から採取した資料から樹齢を推定すると2170歳と
 いう事になり、これでは“弥生杉”になってしまう。
 一方、過去に伐採した屋久杉の記録や、気候データなどから推定した樹齢は7200歳と
 いう事になる。
 という訳で、“屋久杉自然館のHP”には、縄文杉の樹齢は2000年代~7200年と書かれ
 ている』

のだそうだ。 万能と思われがちな科学をもってしてもこの程度だ!
新聞記事の最後に書かれていた、次の文章にも考えさせられた。
『印象的なのは、この縄文杉に伐採の為の試し切りの跡がある事だ。 日本の巨樹の多
 くは人跡未踏ゆえに生き残ったのではなく、何らかの理由で切らずに残された…』

昨今、屋久島への入山者が年間10万人を超えるといい、
山中でのし尿の処理が大きな課題になっていて、縄文杉に向かう登山口では携帯トイレ
の販売が始まり、し尿の持ち帰りを環境省などが呼び掛けているという。
又、自然保護の為に入山者数を制限しようという動きも出ていると聞く。

先人達が畏敬の念をもって折角残してくれたこの巨樹、安易な興味だけで枯らしてしまう
事のないように願っている!

放射性炭素年代測定法
炭素の大部分は、原子核が6個の陽子と6個の中性子からなる“炭素12”であるが、
その他にも僅かに含まれる、6個の陽子と7個の中性子からなる“炭素13”と、
極微量含まれる、6個の陽子と8個の中性子からなる“炭素14”がある。

この内、“炭素14”は、対流圏上部から成層圏で窒素原子に熱中性子が吸収される事
によって生成しているが、不安定な為に絶えず電子を放出して安定な元の窒素原子に戻
って行く。
その変化は極めて規則的に起こり、元の“炭素14”の量が半分になる期間(半減期)は
5730年である事が知られている。
そこで、植物中の炭素14の減り具合、つまり炭素12と炭素14の比率を測定する事に
より、植物の年齢を推定する事が出来る。