香の幻想：アルベンシスミント

　小さな神社の境内でささやかなお祭りが行われています。数えられるくらいの屋台が灯りをともしています。

　金魚すくいの屋台で小さな女の子がじっとプールの中の金魚を眺めています。女の子は４歳か５歳くらい。白地にピンクと藍色の朝顔の柄のついた浴衣を着ています。おかっぱの髪の毛はクセがなくきれいな直毛。頭の両側をさくらんぼのゴムで結んでいます。

　女の子は３回金魚すくいに挑戦しましたが、３回とも失敗。一匹も取れませんでした。屋台のおじさんが３～４匹金魚をすくってビニール袋に入れてくれました。

　笛や太鼓の音がテープレコーダーからうるさくない程度に流れています。女の子はうれしそうに金魚の入った袋を手にして、もう片方の手をおとうさんに引かれながら神社の石段を降りて行きました。

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