家の近くのむし探検 第22弾
7月12日に家の近くの公園で見つけた虫の続きです。
最初はマメコガネです。これはたくさんいて、ツツジの葉を食べています。
これはシバツトガ。
これはユスリカです。前脚脛節より第1跗節が長いので、ユスリカ亜科でしょうね。たぶん、Chironomus属の♀だと思いますが、これから先はよく分かりません。
これはウスオエダシャク。
それから、キボシツツハムシでした。
最後は綺麗な虫ですが、アシナガバエの仲間です。この仲間はみなこんな綺麗な色をしているので、写真をすぐ撮りたくなるのですが、名前はおろか属もなかなか分かりません。とりあえず、「知られざる双翅目のために」に載っている「日本産アシナガバエ科の亜科への検索」を試してみました。と言っても、写真がこの1枚なのでなかなか大変です。
①頭頂はふつう凹まない;翅のM2脈はふつう無いか短く途切れる
②a 触角柄節は背面に刺毛を持つ。交尾器大きく腹端側に伸長する;中脚と後脚の腿節に前方亜先端剛毛あり。脛節は強い剛毛あり;中胸背板は平たくならない Dolichopodinae亜科
②b 以上のいずれかに当てはまらない
③中胸背板の後部は平たくならず、連続的に丸みを帯びている
④雄の顔は幅広い種と狭い種とがある。後頭頂毛を頭頂部に持つか、あるいは欠く;翅のdm‒cu脈は、M3+4(→CuA1)脈のdm‒cu脈より先の部分より短い;唇弁はふつう小さい
⑤中脚と後脚の腿節に前方亜先端剛毛がある;後脚基節の刺毛は中央部にある;雄の褥板はほとんどない。頭部は前から見ると楕円形に近く、縦長になる。前脛節に前背方刺毛の列があることが多い Sympycninae亜科
検索表としては、①→②aと進んでDolichopodinae亜科になるか、①→②b→③→④→⑤と進み、Sympycninae亜科に進むかのどちらかだと思うのですが、写真で分かるところだけでも見ていきます。
最初は翅脈です。翅脈の名称は三枝氏の提唱したやり方(詳細は以前ブログに書きました。こちらを見てください)とMND(Manual of Nearctic Diptera)などに載っているやり方があってややこしいのですが、検索表にはdm-cu横脈となっているので、たぶん、MNDなどに使われているやり方がよいと思われます。それに合わせて名前を付けてみました。この場合、検索表のうち、M3+4と出ているのはCuA1とすべきです。三枝氏のやり方ではdm-cu横脈ではなく、m-m横脈とでもしておき、CuA1→M3+4とすればよいと思われます。いずれにしても、検索表の①と④はOKかなと思います。
次は全体像です。頭頂は通常通りなので①はOK。②の触角柄節背面の刺毛は写真が鮮明でなくてよく分かりません。それで、②はaかbという二つの可能性が出てしまいました。⑤の中脚と後脚腿節の前方亜先端剛毛は矢印で示したものです。あまりはっきりとは分からないのですが、Dolichopodinae亜科か、Sympycninae亜科かというところになります。気持ちとしてはSyntormonあたりかなと思っているのですが・・・。
アシナガバエ科については双翅目談話会機関誌の「はなあぶ」に、田悟敏弘氏による「関東地方にて採集したアシナガバエ科の記録」が30-2, 1 (2010), 34, 1 (2012), 39, 105 (2015)に載せられていることを以前教わりました。それぞれどの属を載せているのかを示したのがこの表です。最後の3列がそれに相当し、数字は種数を意味しています。また、CIJは「日本昆虫目録」、Checklistは先ほどの「知られざる双翅目のために」のリストに載っていた属です。また、青字はMNDに載っていなかった属を意味します。MNDの属の検索表で翅脈から少しは分からないかなと思って調べてみたのですが、10属くらいは何とかなりそうなのですが、それ以上は無理みたいです。やはり採集が必要ですね。