ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

あとのこと

2012-03-20 21:48:46 | Weblog
父が亡くなって5年なので、いろいろと思い出してみるのだけれど、
つくづく思う。

なんて手間のかかる人なんだろう。まったく。

この「手間」というやつは、もちろん現在進行形なので、
あえて過去形にはしないでつぶやいてみる。

母の周到さに比べ、父はなんて稚拙なんだろう。
「ねえ、あとのこと考えた?」って、本人をつかまえて聞いてやりたい。
聞くと、なぜか照れながら「えっ?」って言うんだろうな。

そして私は「なぜそこで照れるのか、わからない!」と心の中で叫ぶ。
そこは恥じるか、反省すべきところであって、照れるところではない。

ああ、クレヨンしんちゃんだなあ。
「それほどでも~」「ほめてない!」というあの会話だ。

父のことを本当に憎んだ時期にも、
たとえ周囲の誰が私を大切にしてくれたとしても、
父を失った(と信じていた)気持ちを代わりに埋められる人はいないってことは、
ずっとわかっていた。
それぐらい好きで、だから憎もうとしてた。

人はあるとき、ふと、輪を閉じようと思う。
自分は無理をしていた。本心に気がつかないフリをしてた。
でも、あるとき、それを一本の糸としてたぐりよせて、
輪をえがいて結んで、そして閉じたくなる。

それは、ある人との再会につながったり、ある人との別れになったり、
また違う関係性の始まりだったりする。

歩いている道は、未来に向かって一直線に続く道ではなくて、
道はめぐって、ある大切なところに戻るんだと思う。
だから私も、無謀にも、今ごろ上海なんかに来て働いているわけで・・・、
きっと「ねえ、あとのこと考えた?」と母に言われてしまうなあ。

5年

2012-03-20 01:02:00 | Weblog
18日は父の命日だった。
あれから5年。
いろいろあったし、変化もしたけれど、まだ父に捕まったままの部分もある。
昔からそんなもんだった。

さて、『日本探偵小説全集2 江戸川乱歩集』を読み終わった。
ぎっちり文字が入っていて、文庫だけど約800ページ。
なかなか読み応えがあった。
『二銭銅貨』なんて、いまから90年も前の文章なのに、ぜんぜん古くない。

そして、昔はラジオで音読されるのが普通だったからか、
文章の調子も、まったく読むための文章というよりは、
声に出して読むのに適しているような調子で、
リズムがすごく心地よかったし、言葉でわかりにくい表現もなかった。
やっぱりすごい。

ただ、絵を思い浮かべるときに、
かなりの確率で、昔見た天地茂の2時間ドラマや高階良子のマンガの
1シーンを思い出してしまって、
ふと、遠い目をしてしまう。

まあ、人生いろんなことがあって、
いまなんとなくいい感じだから、
よかった。