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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン1(4)

2019年01月17日 19時12分49秒 | テレビ番組
シーズン1のストーリー紹介続きです。いよいよ最終回。最後のカタルシスは必見です。


<ネタバレあり>


第7話「概念実証」<原題:Proof of Concept>

テッククランチ・ディスラプトの会場に乗り込んだリチャードたち。そこでリチャードはビッグヘッドから、このコンペに参加している旧知のシェリーが、リチャードに付きまとわれていると言いふらしている、という話を聞きます。
まったく身に覚えのない話ですが、それが気になって翌日のデモの準備が進みません。
リチャードとディネシュがホテルでデモの準備に取り掛かっている最中、パイド・パイパーのブースで留守番をしていたギルフォイルに隣のブースの女性エンジニアが、Javaのバグを直してほしいと声をかけてきます。

一方、アーリックは審査員のひとりに、かつて彼が妻を寝取ったダン・メルチャーがいることに気づきます。もしメルチャーに寝取ったことがばれているのだとしたら審査で不利に働くことはいうまでもありません。
真相を確かめるべく、メルチャーが留守の間を狙って彼の宿泊している部屋を訪ねてみると、寝取った妻ではなく、再婚した妻がいました。彼女から、メルチャーは過去のことは一切忘れている、と聞いたアーリックは一安心します。

ギルフォイルと入れ替わりでブースで留守番をしているディネシュに先ほどの女性がJavaのバグを直してほしいと声をかけてきます。意気投合した二人はその夜一緒に彼女の部屋で映画をみる約束を交わしました。
彼女の書いたJavaのコードは素晴らしいとほめるディネシュ。それを聞いたギルフォイルは大笑い。そのコードはギルフォイルが彼女に頼まれて書いたものだからです。

その夜、ついにアーリックはメルチャーの2番目の妻と関係を持ってしまいます。
過去がばれていなかったと確信したアーリック。コンペでパイド・パイパーの出番がまわってくると、アーリックが舞台でプレゼンを始めますがメルチャーに殴り掛かられます。



第8話「先から先までの最適な効率」<原題:Optimal Tip-to-Tip Efficiency>

審査員に殴られたパイド・パイパーに主催者は平謝りし、訴訟を起さないことと引き換えに決勝への出場とスィートルームの宿泊を手に入れました。

一方、ディスラプトの方はギャビン・ベルソンが登場し、ニュークリアスのプレゼンを行いました。
リチャードの開発した圧縮アルゴリズムをまねて作られたニュークリアスはパイド・パイパーと同じ圧縮スコア2.89を誇り、その圧縮アルゴリズムを使ったプロダクトの数は50を越えています。
同じ圧縮スコアのパイド・パイパーはプロダクトの数が5つしかなく、決勝でプレゼンをしてもニュークリアスの前に霞んでしまうのは目に見えていました。
決勝を辞退しようかと相談するリチャードたち。しかしアーリックだけは諦めません。会場の全員を手コキしてでも勝つと意気込みます。
そこから、持ち時間10分で800人も手コキできるのかという雑談が始まりました。
その雑談の中、「真ん中から始める」という言葉がリチャードに天啓を与えました。リチャードはこれまでのプロダクトをすべて削除し、ひと晩で「ミドルアウト」というまったく新しい圧縮アルゴリズムを完成させます。

翌日の決勝ではアーリックにかわってリチャードが自らプレゼンを行うことに。完成したばかりの圧縮プログラムは3.5という圧縮スコアをだしており、ニュークリアスを凌駕しているはずでした。
しかしプレゼンの途中、審査員から、実際に圧縮してみせろと要求され、渡された132GBの3D動画を圧縮すると、リチャードの予想の半分の24GBに圧縮されました。圧縮自体が失敗したと思ったリチャードでしたが圧縮は成功しており、スコアは5.2。これまでの限界の2倍の圧縮率をたたき出したのでした。こうしてパイド・パイパーは文句なしの優勝を飾りました。


ギャビンのプレゼンの画像にはHIGHWINDS、クラウドフレア、アカマイといった実在の企業のロゴがでています。
ロスレス圧縮とは、可逆圧縮ともいいますが、元のファイルとまったく同じに復元できる方式のことです。当たり前のように聞こえますが、動画、音声、画像などは元々のサイズが大きいため、この圧縮方法はとりません。
可逆圧縮の逆が非可逆圧縮で、jpg、mp3など画像、音声、動画ファイルはこの形式で圧縮するのが普通です。圧縮する際にデータを削りおとすことでオリジナルより劣化はするもののファイルサイズを可逆圧縮より小さくできます。
ニュークリアスやパイド・パイパーは圧縮性能が理論上の限界値までいくため、画像、音声、動画を可逆圧縮で扱える(データ劣化がない)のが売りというわけです。
圧縮効率の数値を意味する(らしい)ワイズマン・スコアという単語ですが、これは本作の架空のスコアです。ちなみにリチャードが圧縮ファイルのワイズマン・スコアを測定するのに使ったツールにはStanford ENGNEERINGの文字とスタンフォード大学のロゴがあります