少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

新・幕末史

2024-06-21 18:11:10 | 読書ブログ
新・幕末史~グローバル・ヒストリーで読み解く列強VS.日本~
(NHKスペシャル取材班/幻冬舎新書)

2022年にNHKスペシャルで放送された「新・幕末史 グローバル・ヒストリー」の内容をさらに深めて書籍化したものらしい。(放送は見ていない。)

本書は、黒船来航の1853年から戊辰戦争が終結した1869年までを取り上げ、列強諸国(英国、フランス、ロシア、プロイセン、アメリカ)が、新体制への移行、特に戊辰戦争にどのように関わったかを、各国に遺された外交文書の分析を通じて明らかにする、というもの。

帝国主義的な植民地獲得競争の中で、列強の動向によっては、日本が植民地となったり、傀儡政権化するおそれも十分にあった。

また、当時の我が国の課題は、そのまま、その後の発展方向(とその限界)に直結している。歴史に「もし」を持ち込んではいけないといわれるが、さまざまな「もし」が想定し得る時代。

明治維新から150年余り、当時の激動の歴史は、現代と地続きであることを実感した。

そして、当時の各国のむきだしの欲望は、地政学的な観点で見ると、必ずしも過去の遺物として看過できるものではない、とも思った。

読後に考えることが多かった一冊。