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産婆のタネ(中島要/双葉社)
この作者の作品が好きで新作は読むようにしている。近作は、江戸時代の様々な女性の生き方を描いている、という印象が強い。
「産婆のタネ」は、作中では産婆の神様のような高齢の女性だが、主人公は物語のスタート時には16歳の少女。大店のお嬢さんという恵まれた立場にありながらさまざまな不幸が重なり、主人公の運命やいかに、というときにあれこれの経緯があって、産婆の見習いとなる。
その後、産婆という職業にまつわる様々な経験と、産婆をやめさせようとする周囲との軋轢を重ねながら、次第に将来への決意を固めていく。
妊娠・出産の専門家としての産婆を取り上げた職業小説であり、主人公の成長物語でもある。
感想を少し。
当時に比べれば、女性が生きていくための自由度は相当広がっているはずなのに、作中に描かれている女性としての生きにくさに臨場感があるのは何故だろう。
どんな時代でも人が生きていくのは大変なこと。子供を持ち、育てることは、ある意味で現代のほうが過酷なのかもしれない。
この作者はしばしば、登場人物の視点を変えながら物語を語るが、この作品では主人公の視点に固定されている。そのため、主人公の心境の変化が分かりやすく描かれている。
>子供を持ち、育てることは、ある意味で現代のほうが過酷なのかもしれない。
そうかもしれないですね・・。
江戸時代なら、子供はちょっと読み書きと算術ができれば良いというものだったでしょうが、
今の世の中はそれでは済みませんものね・・。
創作もできるだけ時代考証して
整合性がとれてないと人々が受け付けませんし、
人やサービスに要求されるレベルが
上がっていっていると思います。
こういう作家さんがいたのですね。
勉強になりました🙏
この方の作品はこれまでにいくつか紹介していますが、あまたの江戸物のなかでも気に入っています。
登場人物の心の描写が巧みなのかもしれません。