張良(宮城谷昌光/中央公論社)
昨年2月に『諸葛亮』を紹介して以来の、宮城谷氏の著作。かなり前に『太公望』も書いているので、三大軍略家が揃うことになる。
あとがきに、張良は「情報を多く早く得て、それを武器として戦い」ぬいたと書いてある。本書で張良が用いたのは、重要人物の元に部下を置くことと、方士のネットワーク。
方士は神仙術を行う修行者であり、この頃の中国には神仙的な逸話が多いが、本書ではそれを歴史上の事実として取り入れている。
読んでみると、既視感のある場面がいくつかあったが、それは『楚漢名臣列伝』と『 劉邦』を読んでいるからだと思われる。
張良が常に軍略を誤らないのは、情報を得るだけでなく、正しく評価し、素早く決断できるからだ、ということがよくわかる。その根本にあるのは、私心のない志と、ものごとの本質を視る眼だろうか。
だから、『 劉邦』とほぼ同じ時代の物語を張良の視点で描くことには、大きな意義があり、これまでの氏の著作と同様、最後まで楽しむことができた。
軍略において判断を誤らなかった張良は、身の処し方についても潔さを貫き、晩節を汚すことがなかった。その生き方がとても印象に残った。
今読んでいます。
宮城谷氏の作品はすべて読んでいます。
公孫龍四巻も次に読むつもりです。
すでにKindleに入っています。
茉那
氏の作品全ては読んでいませんが、古代中国の作品はほぼ読んでいます。
公孫龍四巻も出ていましたね。私は図書館で借りられるまで待つことになります。