少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

図書館司書と不死の猫

2023-04-21 20:49:41 | 読書ブログ
図書館司書と不死の猫(リン・トラス/創元推理文庫)

タイトルに、図書館と猫が入っているので、つい買ってみた本。

不死、という言葉と、表紙の黒猫の絵から予想できたはずだが、巻末の「著者からの注釈」を読むと、中編ホラー小説の執筆を依頼された、と書いてある。やっぱりホラーだったのか、と思ったが、実は、それほど怖い話ではない。もちろん、タイトルどおりに不死の猫が出てくるし、複数の人が死ぬのだが。

作品の冒頭に、次の言葉が掲げられている。

まっとうなホラーを愛するジェマヘ
謝罪の念を込めて

つまり、ホラー仕立てではあるが、本気で怖がらせる気はないらしい。

解説の冒頭に、翻訳物の原題の話が出てくる。本書の原題は Cat Out of Hell で、直訳すれば「地獄の猫」。それを『図書館司書と不死の猫』としたことを、解説者は高く評価している。

私も原題と日本語タイトルの違いが気になるほうだが、確かにこのタイトルは本書によく合っているので、この解説者は信頼できると思った。だから、解説者が紹介している、同じ作者が書いた『パンクなパンダのパンクチュエーション』という文法書も、探してみようかという気になった。

本文以外のことばかり書いたが、いずれにしても、イギリス的なユーモアが漂うスタイリッシュな本だ。


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