少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

文学少女対数学少女

2023-04-14 19:57:11 | 読書ブログ
文学少女対数学少女(陸秋槎/ハヤカワ文庫)

タイトルが気になって、とうとう買ってしまった本。

「犯人当て小説」を書くのが趣味の文学少女と、天才数学少女の交流?を描いた作品集。数学に関係する題名がつけられた、4つの作品が収録されている。

連続体仮説
フェルマー最後の事件
不動点定理
グランディ級数

文学少女が書く作中作を素材にして、数学に関連する推理の技法、あるいは推理小説の技法を論じる、という趣向。そういう意味では、タイトルのイメージを裏切ってはいない。少なくとも、数学の概念で推理小説について語る、という企みは、成功しているようだ。

解説を読むと、この作品は「後期クイーン的問題」を意識して書かれている、とのこと。門外漢としては、この言葉の意味を解説する気になれない。本格的な推理小説マニアでなければ、ある種の読みにくさをぬぐい切れず、「推理沼」の深さを、改めて思い知らされた。

しかし、半ばほど読んで、この作品を読むコツに気がついてしまった。この本は、推理好きと数学好きの、少し変わった少女2人を主人公とする「ライトノベル」なのだ。(作者にその意図がなくても)そう思って読めば、見慣れない漢字の登場人物も、少し異様な天才少女の言動も、めまぐるしく繰り広げられる推理合戦も、気楽に読み流すことができる。

あとはまあ、好みの問題だが、私は嫌いではない。



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