
府中競馬場に集まる5人の男達がレディ・ジョーカーだった。
彼らはそれぞれ何らかの鬱憤を抱えており、中の一人で薬局店主の物井清三が言い出して、巨大企業から大金を取る計画を企てた。
5人の男達は周到な計画を立て日の出ビールの社長を誘拐して解放した

開放された社長、城山には警察から警護という名目で合田雄一郎が監視に就く。
合田のいないところで裏取引を強要された城山は犯人と警察の間で苦悩しながら、20億円の用意を進める。その裏取引のあとに待っていたのは…

過去の事件が次の事件を巻き込み、出身者の差別問題、企業と総会屋と政治家の癒着等、多くのひずみを巻き込みながら、螺旋階段のように社会の底に沈んでいく。
事件はその中の犯人達、被害者となった企業人達、警察、マスコミとそれぞれの視点で順に語られ、その中で生きる人物達の置かれた立場と心の動きも丁寧に描かれます

ストーリーが複雑なので、読み終わって作者は一体何を伝えたかったのかと考えました。
思い浮かんだのは最初に出てきた岡村清二の手紙の中にあった「人権や主義の話しではなく、生きる意味とは何かと云う話です」という一節でした。
登場人物たちは自分の生きる意味をひたすら探していたようにも思いました。
もしかしたら登場人物たちがそれぞれジョーカーだったのでしょうか
