昨日、娘が帰ってきたので一緒に夕食の買い出しに行った。
waonカードを出すと、レジの女性がMに言った。
「55歳からお使いになれるカードをお持ちですか?」
「いえ、まだ。」とMは答えたが、
実はMは早くそのカードが欲しかったので、
おや? この人はそのカードを作ってくれるのかちらん? と、
チラっと思って、ちょっと嬉しくなっていた。
でも、きっと身分証明証が必要だろうからまだダメじゃん……と、
一瞬のうちにバタバタとMの脳内が動いた。
すると、隣にいた娘がいきなり「失礼ね」と憤慨した。
レジの女性は慌てて「失礼しました」と言い、そそくさとレシートをMに渡した。
その時、何で娘がそんなに憤慨しているかMは分からずに、
買ったものをリュックに詰めながら娘に聞いた。
「失礼ねって、何が??」
「だって、55歳って普通聞く? その人の出したカードでだまって会計すりゃいいじゃん」と。
なんだ、そこか。
「そのカードを出せば安くなるから、それは彼女の親切心じゃないの?」と、Mが言うと
「でも、たとえ55歳以上に見えても、普通はそんなこと言わないでしょ!」
と、どこまでもこだわる。
そんなにこだわられると、Mは不安になった。
「え~? ちょっと待ってよ、55歳以上に見えてもって……、
てことは、Mは55歳以上に見えるってこと??」と、逆に娘に聞いた。
ついこの前まで、「Mさんって若いよね」と言われ続けてきたので、
もういい加減よしてほしいと、心の底から思ってた。
白髪だし、シミ・シワもすごいし、本当に若くない事は自分で良く分かってるので、
実際、言われても嬉しくないし、褒め言葉にも聞こえなくなっていた。
ところが、55歳以上に見えるの? と、人生初の見た目年上年齢で、
嬉しいようなカナシイような……、フクザツなキモチになってしもうた。
もしや、先月髪を切ってから老けた?
いや、白髪が目立たないようにアッシュカラ―にしたので、
きっと、帽子の裾から見えていた髪の毛が老人っぽかったのかも?
目深にかぶっていたから、顔は見えなかったはずだけど、
シミ、シワが隠れていなかったのかちらん……。
いや、Mはイッキに老けたのかなぁ……。
そんなMのフクザツな心境をよそに、
娘はそっけなく言った。
「だから、『たとえ』と言ってるでしょうが。
女性客に年齢確認だなんて、そんな失礼なことってないわ!」と。
別にMが老けて見えようが、そうでなかろうが関係ないらしい。
あ、そ~なんだ。
ちょっとガッカリ。
自分の母親が老けて見られたことに頭にきて、
『母の代わりに憤慨してくれた娘』かと思ったのに。
なぁんだ。
……フクザツぅ~~~
トシをとった今、
若く見られるのは恥ずかしい。
でも、
トシだからこそ、実年齢より上に見られるのって、
ちょっとサミシイ……。
これまたフクザツな乙女心……、いや、おばちゃん心であった。
どんな恰好をしていても、イタイ人に見られることなく、
トシ相応にみられたいと思っている。
絶妙なバランスが必要。
で、
ここをどうでもいいと思ってしまうと、女を捨てることになるようでコワい。
おばちゃんを通り越して、おじちゃんになるんだろう……と。
ほんっと、フクザツだわぁ……。