“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
1話~11話はこちらで公開しています
12話より〈gooブログ〉からの公開となります
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
第13話 届かぬ思い
『何しにここへ?』
『皇帝陛下にお話があり…』
『あざ笑いにでも来たのか?! 所詮王座など この程度だと?
こんなものの為に お前を裏切って即位したのかと?!!!』
どんなに挑発しようと 自分は何もしない
スンニャンは 何も期待しないでほしいとだけ告げる
陛下のためには何ひとつしないと…!
本当は そんなことを言うためにここへ来たのではない
パク・オジンの再診を命令してほしいと告げに来たのだ
しかし スンニャンが頼まずとも 再診は既に決定されていた
ソ尚宮により 尋問の場へ引き摺り出されるパク・オジン!
尋問に立ち合うため現れた皇太后は
同じく現れた皇后タナシルリの前を 憤然として通り過ぎる
そんな態度も すべては再診が終わるまでと ほくそ笑むタナシルリ
皇帝の子を宿したパク・オジンは
再診で 懐妊していないと分かれば すぐに処刑されてしまう
その後ろ盾になっている皇太后も 無事では済まされないのだ
皇帝タファンではなく 丞相ヨンチョルの命令で 医官が脈診する
滑脈が消えたと証言した医官は 次第に蒼ざめていく…!
懐妊ではないと密告してきた この医官を信じ 再診の場を設けたヨンチョル
しかしなぜ医官が 泣きそうになってうろたえているのか…!
異変に気づき ヨンチョルは他の医官に脈診させるが
いずれも滑脈が感じられると… ご懐妊ですと叫ぶ医官たち…!
タナシルリが狼狽し タンギセが ヨンファを睨み付ける
確かにフジモドキを飲ませたと ヨンファは蒼ざめて答える…!
微かに ニヤリと笑みを浮かべるスンニャン
パク・オジンの頻尿を知り 煎じ薬の内容を変えてくれるようにと
密かに トクマンに願い出ていたスンニャンだった
フジモドキの毒を中和させ 流産はくい止めることが出来た
しかし弱り切った体では 尋問の場に行くことは無理だというトクマン…!
『ダメです 皇后様が自らかけた罠で 逆に追い詰めるのです!
どちらかが倒れなければ 戦いを終わらせられないのです』
この日のため スンニャンは 医官の脈診の際
オジンの寝台に潜り込み 御簾越しに自分の手を差し出したのだ
滑脈が消え 懐妊ではないと 皇帝タファンや皇太后にも信じ込ませた
この医官が密告に走ることも承知の上で…!
懐妊を祝う言葉で この場を終わらせようとするヨンチョル
それで済むと思うか!と 声を荒げる皇太后…!!!
噂に惑わされ再診を要求し 皇室の権威を失墜させた皇后の罪は?!
そこで皇帝タファンが 何を根拠に懐妊を嘘と思ったのかと問う
もともと確固とした考えなどない娘 皇后タナシルリである
丞相ヨンチョルは これ以上娘が失言しないよう
自らの罪を認め 皇后には 相応に罪を償わせるとした
どんな償いをさせるのかと 鼻で笑う皇太后
ヨンチョルは 席藁待罪(ソッコテジェ)だと即答する…!
地位ある者にとって最大の屈辱となる 席藁待罪(ソッコテジェ)!
※席藁待罪(ソッコテジェ):喪服を着て藁の筵に跪き王の許しを請う行為
しかし皇太后は それで納得する気はなかった
噂を鵜呑みにした皇后も愚かだが 噂を流した者も大罪であると!
『それまでに!!!』
またも言い争う皇太后と丞相に 皇帝タファンはうんざりしていた
その陰で睨み合う タンギセとスンニャン…!
2人きりになり 何を企んでいるんだと凄むタンギセに
スンニャンは 皇后から預かった証書を見せ不敵に笑う…!
それは 無事任務を果たせば自由にしてやるという文面に
皇后自身が押印している まさに皇后が黒幕だという証拠であった
2人の過去にどんな経緯があろうとも この元の国において
タンギセは 皇后の兄であり将軍であった
高麗(コリョ)出身の雑用係スンニャンが ここで悲鳴を上げれば…
スンニャンを殺す前に 悲鳴を聞きつけ人が来てしまう
『愚か者め! 廃位された王のために復讐するつもりか?!』
『王様のためではない お前は… 私の母を殺したのだ!』
タンギセは 自分でも思いがけなく衝撃を受けた
不覚にも 本気で愛し始めた女の母親を この手で殺していたのかと…
この2人のやり取りを 物陰からコルタが聞いていた
皇后タナシルリは 下着姿になり大明殿へ向かう
激しく号泣し 無念を示すソ尚宮と女官たち
しかし 哀れみを受けることは さらにタナシルリの誇りを傷つけた
※大明殿:元の皇居の主殿
雷鳴が轟き 激しく雨が降り出した
ずぶ濡れになりながら 謝罪の言葉を叫ぶ皇后タナシルリ
あまりに痛ましい妹の姿に 耐え切れず助けに行こうとするタンギセ
父ヨンチョルは それを引き止め堪えよと命じる
劣勢にある時ほど身を低くし 首を守らねばならぬと…!
『廃位と引き換えの罰なのだ 耐えるしかあるまい…!』
タファンは 皇后が病でも患ったらと心配し やめさせようとする
そんなことより パク・オジンを才人にすべきだと諫める皇太后…!
※才人:後宮の最下等に近い位
歳月により権力は衰えるのだと だからこそオジンに世継ぎを産ませ
本当の意味での こちら側の臣下を作る必要があると!!!
夜になっても 皇后の席藁待罪(ソッコテジェ)は続いていた
雨こそ上がったものの 寒さの中で震える皇后タナシルリ
決して… 決して涙など見せぬと心で叫びながら 気を失ってしまう…!
意識が戻らないまま 寝所に運ばれていくタナシルリ
そして同じ時 パク・オジンが才人として任命された
すべては自分の落ち度と 父ヨンチョルの前で頭を下げるタンギセ
ヨンチョルは その失敗にではなく 弱音を吐く息子に激怒する…!!!
一族を継ぐ者であれば 決して弱音を表に出してはならぬ
たとえ身内の前であっても 常に冷静で強い自分を保てと…!
そこへ ワン・ゴが チョチャムを伴い現れる
タプジャヘ将軍の 西の辺境での戦況を知らせにやって来たのである
息子タプジャヘを除く すべての者が討ち死にし全滅したと…!
ペガン将軍のみならず ワン・ユも命を落としたのいうのである
西の辺境では
チュルクの本陣に 捕らわれの身となっているペガンとタルタル
そしてヨム・ビョンスの前に パン・シヌとチョンバギが現れた…!
※チュルク:中央アジアの遊牧民
ここを襲ったのは タプジャヘ将軍ではなかった
ワン・ユ率いる労役兵の部隊なのだと知り 愕然とするペガンたち!
『この労役兵たちは お前たちの死を望んでいる』
生きて戻りたいならば チュルクを全滅させ手柄を立てるべきだと
この辺境へ来た時 ペガンは ワン・ユに言い放ったのだ
その通りにしたまでのことというワン・ユ
チュルクへ寝返れば 命を助けると言ったパトル
しかしペガンは応じず 名誉の死を選んだ
そして今 同じことをワン・ユの前で言い放つ…!
ワン・ユが振り下ろした剣は 縄だけを切る
そして 共に大都を目指すというワン・ユ
続いて荷車が運ばれ そこにはパトルの亡骸が…!
ペガンが仮面を剥ぎ取ると それはパトルの側近の姿だった
本物の猛将パトルが女であることを知らないペガンたちは
ワン・ユが 完全にチュルクを全滅させたのだと信じる
ペガンと同様に パトルは死を望んだのだ
しかし 敵の敵は味方であり 高麗(コリョ)とチュルクは
敵同士ではないというワン・ユ
絹の道は 必ずや高麗(コリョ)とチュルクのものになると…!
パトルは 初めて自らの本名は “ヨンビス”であると明かした
それが ワン・ユに対する答えであった…!
一方 スンニャンは 雑用係から女官に抜擢され 個人の部屋を与えられる
そんなスンニャンを殺せと 部下に命じるタンギセ
一族を担う者として たとえ心を寄せる女であっても情はかけられぬ
この先 脅威となる存在のスンニャンを 決して生かしてはおけないのだ…!
トクマンが呼んでいると スンニャンを呼び出したのはヨンファだった
それを信じ 夜中の宮殿内を トクマンの執務室へ急ぐスンニャン
その背後を怪しい影が尾行している
角を曲がったところで その影は コルタの部下により取り押さえられた…!
命を狙われていることに気づかず歩いて行くスンニャン
それを コルタが呼び止め 皇帝タファンのもとへ連れて行く
皇后の書付けを出せと 唐突に言われ うろたえるスンニャン…!
宦官らに取り押さえられ 懐の書付けが奪われてしまう
復讐のための希望であり この宮中でタンギセから身を守るためにも
スンニャンの命綱とも言えるべき書付けが タファンにより焼かれてしまう!
続いてタファンは スンニャンを殺そうとした者に会いに行く
しかし 捕らわれた刺客は自ら舌を噛み絶命していた…!
コルタが タンギセとスンニャンの会話を盗み聞いたことで
ようやくスンニャンの目的が分かったタファン
すべては タンギセからスンニャンの命を守ろうとしてのことだった
恐らく 何度失敗しようと 皇后とタンギセはスンニャンを狙うだろう
確実にその脅威から守るため タファンは スンニャンを大明殿へ移せと命じ
これ以上の非情なる行いは 断じて許せぬと激怒し 皇后のもとへ…!
そんなこととは知らず 皇帝が来てくれると胸を高鳴らせ
高熱にもかかわらず 身支度を整えるタナシルリ
『そなたは… 少しも悔いるということをしないのだな』
『…何を悔いればよいのですか? 陛下がこうして来てくれました
私と視線を合わせ話してくださいます 一体… 何を悔いれば?』
丞相の娘に生まれ ある意味では 宮廷を牛耳るための道具にされた
そんな自分に 皇帝が心を許すはずもない
でも… 抜け殻のように接する皇帝に 寂しさだけが募っていく
こんなことでもしなければ 自分のもとへは来てくれないと
タナシルリは 絶叫して訴える
ここへ嫁げと命じた父親を恨むと…!
そんなタナシルリの女心に触れ 言葉を失うタファン
それでも この皇后に対し 優しい言葉をかけることは出来ないと
無言で出て行くタファンであった…
大明殿へ移されたスンニャンは コルタから説明を受ける
仕事内容は 皇帝陛下の世話係であり 陛下から3歩以上離れるなと…
それこそ スンニャンの命を守るために タファンが考えた策であった
この宮廷では スンニャンではなく あくまでも“キ・ヤン”である
ヤンが来たと聞き 思わず笑顔が込み上げるタファン
皇帝としての威厳を見せつつ ヤンを目の前に立たせる
肖像を描いてやるから一瞬も動いてはならぬと…!
筆を動かしながら これまで聞きたかったことを口にするタファン
なぜ 連行されてすぐに自分を訪ねなかったのか
なぜ 女だという事実を明かさなかったのか
そして… 自分を恨んでいるかと…
すべての質問を無視し この宮中から出たいと訴えるスンニャン
質問はしたが 答えることを禁じ 訴えも無視するタファンであった
夜も更けて床についたタファン
その枕元で詩を朗読するスンニャン
『私を… 宮中から出してください』
眠れないタファンが口を開けば スンニャンは同じ言葉を繰り返す
聞かぬフリをしたくても もうタファンも我慢の限界だった
なぜそこまでして宮中から出たいのか…
スンニャンの答えはただひとつ ワン・ユ王を捜したいのだ
廃位したワン・ユを 今も“王様”と呼ぶスンニャン
元の国の 皇帝の寝所にいながら 今もワン・ユを主だと…
たとえ体はここにあろうと 自分の主は今も変わらないのだと…!
『この世に不変なものなどありはしない!
身分や境遇が変われば そなたの主も変わるのだ!!!』
女官にして傍においても スンニャンの心は得られないと
タファンは失望して下がれと命じた
退室するスンニャンを コルタが待ち構え
すでにワン・ユは死んだと告げる…!
詳細はチャン・スニョンが知っていると
そして 今度陛下に無礼を働けば 決して許しはしないと…!!!
ワン・ユだけではない ペガンもタルタルも
西の辺境の者たちはすべて戦死したと コルタは 皇帝タファンにも報告した
その報告に驚き そしてスンニャンの心中を察するタファンであった
スンニャンは衝撃を受け 涙が止まらない
唯一の希望であったワン・ユの死は 耐え難い悲しみであり
それ以来 食事も満足に出来ないスンニャンは 見るからにやつれていた
そんなスンニャンに 毒味係の任務を与えるタファン
皇帝が 勝手に毒味係を替えるなど たとえ掟に反するとしても
タファンは スンニャンに食事をさせたかったのだ
食事の後 夜の庭園を散歩する タファンとスンニャン
何度もおどけては スンニャンをからかうタファン
思わず仕返しに!とふざけて 微かに笑みを浮かべるスンニャン
タファンは 少しでもスンニャンが笑ってくれた それだけで満足だった
同じ時 ワン・ユは 元の都 大都を目指していた
一刻も早くスンニャンのもとへと…!
あとひとつ山越えすればいいだけだが タルタルは野営をと提案する
もう2日間も駆け通しで タプジャヘも 馬も休めねばというが
ワン・ユの一行は 構わず先に行く
なぜあんなにも急ぐのだと 怪訝そうな表情のペガンに
ヨム・ビョンスが スンニャンに会いに行くのだと説明する
そしてそのスンニャンは 男ではなく女なのだと…!
山越えをして都に入ったのは 夜も更けてからだった
パン・シヌが 皇宮へ行くのは明日にしましょうと促し
チョンバギが宿を探しに行くが この時間では妓楼しか開いていない
するとそこには 泥酔して喚き散らすワン・ゴが…!
死んだと伝え聞いたワン・ユが目の前に現れ 驚くチョチャム!
両者は 思わぬ形で再開することになった
塩の密売に手を染め そうまでしてヨンチョル丞相に取り入ったのにと
こんなところでヤケ酒を煽る叔父に 皮肉を言うワン・ユ
無事に生還したところで 決して安心など出来ない
元の国の皇宮は それほどに恐ろしいところなのだというワン・ゴ
しかしワン・ユは そんな叔父の苦言など相手にする気はなかった
皇宮では
ついに体調を崩し 寝込んでしまったスンニャンのため
皇帝の主治医に診させよと命じるタファン
女官の主治医など 考えられないことだというコルタだが
タファンの逆鱗に触れ 慌てて主治医を呼びに行く…!
スンニャンは 高熱にうかされワン・ユの夢を見ていた
夢の中で タンギセに斬り殺されるワン・ユの姿に
思わず『王様…!』と叫ぶスンニャン…
そこへ チャン・スニョンが ペガン将軍の帰還を報告しに来る!
ペガンが生還したということは…
西の辺境の部隊が全滅したというのが 誤報であるならば…
『あの者は… あの者はどうしたのだ?』
『一緒に戻りました』
『生きて… 戻ったのか』