退職し、仙台から札幌に戻りました。札幌は、4月初旬ですが、道路、住宅の周りは雪山の中で、雪に埋まっています。12年ぶりに自宅に戻り、改めて北海道の雪の多さと寒さに驚く毎日です。
被災地から離れて、改めて、震災報道の少なさを感じました。また、首都圏を除き、多くの日本の地域社会が疲弊していることを感じています。これらは、震災地域だけでなく、日本社会全体が社会構造の変化に有功についてゆけなくなっていることを示しているように感じています。従来型の景気刺激、経済成長一辺倒では対応ができないことを示しているようにも感じています。
<東日本大震災 中心市街地再生/スピードとビジョン両立を>社説
東日本大震災の被災地が、地域の先行きを左右する中心市街地の再生に向け動きだした。
多くの犠牲者が出た被災地は人口流出という新たな難題に直面している。住まいの確保にめどが立ったとしても、地域に引きつける力がなければ、人の流れはなかなか止められない。市街地の再生は、地域の魅力を高めるという意味でも復興の鍵を握る。
市街地も津波に襲われ、その機能が失われた被災自治体では、民間が主導的に再開発計画を進めたり、行政が基盤整備に乗り出したりしている。
いつまでに、どういう街にしていくのか。地域によって状況は異なるが、住民が将来像をイメージできるまちづくりのビジョンと、早期に事業を展開するスピードの両立が不可欠な点は被災地に共通する。
石巻市では、市街地の6地区で再開発計画が浮上。地権者らが事業主体となる準備組合やまちづくり会社を設立するなど、一歩ずつ実現に向かっている。
それぞれの計画は新たな施設に津波災害に備えた避難スペースを確保したり、災害公営住宅の整備を組み込んだり、地域との調和も視野に入れている。
石巻市の6地区は、市が震災前に策定した中心市街地活性化計画の対象区域。にぎわい創出を目的としたその計画自体も大幅な見直しは避けられない。
市街地は浸水被害こそ受けたが、一部の事業者や商店は比較的早期に再開するなどした。市街地の再生も先行事例として注目されている。市なども民間中心の再開発と連携を図り、まちづくりを加速させたい。
市街地が壊滅状態となった宮城県女川町の場合、内陸側に移転再建されるJR女川駅周辺などで、土地区画整理事業による大規模なかさ上げ・造成工事が始まる。町は公共施設や商店街の集積などを展望しており、住民有志でつくるワーキンググループ(WG)の議論を踏まえて将来像を固める方針だ。
WGがまとめた提言には、核となる公共施設の集約化や、集客力の高い複合観光施設の整備などが盛り込まれた。女川駅は中核施設の一つと想定され、町はJR東日本に対して、休止中の石巻線浦宿-女川間を2014年度末に運転再開するよう求めている。
要望通りになれば、2年後の春には女川駅が復活する。市街地を中心にしたまちづくりもそうした流れを見据えて進める必要があり、早期の具体案提示に迫られる。
震災から2年以上がたち、被災地は防災集団移転促進事業や災害公営住宅の整備が本格化。大打撃を受けた水産業も養殖を再開する漁業者や、工場を再建する加工業者が増えている。大きな課題の生活の再建、産業の再生にようやく道筋が見えてきており、まちづくりに本腰を入れる時期を迎えている。
地域の「顔」とも言える市街地の再生は復興を象徴する存在になり得る。被災地に希望をともすため、英知を結集したい。