札幌は小雨、風が若干ある天候です。昨夜から朝にかけて、雨と風で積雪が解け、三分の一くらいの雪が解けました。3月20日以降はじめての雨で、雪解けも進みそうです。雪の下から土と草、木々が出てきました。
今朝のニュースで、日銀の金融緩和で株価上昇、円安が進んだと報道しています。大手企業輸出企業、金融機関が輸出、株価含み益が増加したことで、三月期決算が見た目良くなるので、歓迎との報道です。
多くの国民が株式投資を行い、大手企業に雇用されていれば、この金融緩和は国民生活の向上に連動するかもしれません。しかし、多くの国民はその日の生活に汲々としており、株価の上昇、大手輸出企業の損益改善は何ももたらしはしません。それどころか、ガソリン、灯油、小麦価格は上昇をしていて、国民生活の基礎的物資の価格上昇で、生活はいっそう苦しくなろうとしています。安部自民党政権、日銀が行っている金融緩和で日本経済の明日は、展望が出てくるのでしょうか。この社説がいうように「やってみなければわからない」これが本音だと思います。分かってれば、1990年以降の20年にもわたる景気低迷はなかったわけです。小泉・竹中規制改革が失敗し、日本航空の経営破たん、タクシー業界の過剰台数、地方都市の劣化、過疎化などが進行しました。何よりも労働市場の規制緩和で正規労働の減少、非正規労働の急激な増加により、中間層の没落(中流意識の衰退)、貧困の増加、格差の拡大が定着しつつあります。一方で大手輸出企業、海外進出した企業は、低賃金、新たな市場での生産と利益を大幅にためこみました。
日本経済は大手企業損益改善がされていても、よくならなかったのがこの20年間の歴史的事実で立証されています。
日本経済とは日本国民の生活、所得向上、国民の多くが働く零細、中小企業の活動が良くならない限り、改善はできないことを示しています。地方都市においては、一次産業を生かした地域づくりが課題ではないかと思います。農産物、水産物、林業が加工され付加価値をつけて地域を潤す仕組みづくりが必要ではないかと思います。
また、大量生産、大量消費の時代は、地球規模では終焉しつつあるのではないかと思います。再生可能エネルギーの開発、再生可能エネルギーを使った産業、地域づくりがどの国においても課題になることと思います。環境対策、資源の枯渇に対応するエネルギー構造を作ることはどの国にとっても課題です。
これらが、規制緩和がないからできないのか。
そんなことはありません。政治、政権にその意思がないからできないだけです。従来型の利権構造を温存し、一部大手企業の利益確保、その企業の献金でぬくぬくと議員活動を行う政権党の怠慢でしかありません。
大学、多くの研究機関の基礎研究への予算を増加させ、環境対策(省エネ、低炭素社会)、再生可能エネルギーの安価な開発、新しい科学技術(最先端医療、医薬品開発、不足する食糧問題)の開発を促進すべきです。社会基盤の整備を行うことで人口減少が進む中でも、新しい日本経済の未来は気づけるはずです。
< 「安定成長」こそが肝心だ>
日銀の大胆な金融緩和を受けて株高円安が加速しました。しかし、本当に大事なのはここからです。日本経済の安定成長をどうやって実現するか。黒田東彦総裁に交代して、わずか二週間余り。金融市場には直前まで「“黒田緩和”はもう織り込み済みだ」という、もっともらしい解説が流れていました。四日、金融政策決定会合のふたを開けてみれば、予想を上回る大規模緩和。朝方、売り先行で始まっていた株式市場はあっという間に買いが集中し一転、大幅高の展開になりました。織り込み済みどころか「黒田サプライズ相場」はしばらく続きそうです。
◆「途中経過」の株高円安
株高円安について、産業界や投資家の間ではおおむね好評です。投資家は当然ですが、企業も株高でバランスシートが改善し財務に余裕が出てきます。家計はどうかといえば、必ずしも歓迎一色ではなさそうです。
円安で灯油や日用品、一部食料品の値段が上がっています。円安は輸出の追い風になるので、経済全体で見るとプラスなのですが「自分たちには恩恵がない」という声があります。 株高と円安の利益を広く国民全体に行き渡らせるためには、やはり企業が賞与や賃金、雇用で報いなければなりません。 一部には賃金アップの動きも出ていますが、業績好調な企業はぜひ、採用と夏冬の賞与、来春の賃金改定で明るいニュースを発信してもらいたいところです。
中には「私は株式投資をしないから関係ない」という読者もいるでしょう。そこで基本に戻って考えたい。そもそも経済政策の目的は何でしょうか。けっして株高円安が最終ゴールではありません。日本経済を安定した成長軌道に乗せる。それが目標です。
◆本体工事は基礎の上に
安定成長とは何かといえば、五年あるいは十年といった期間で名目成長率3~4%を達成する。そんなイメージを描けばいいでしょう。そのためには労働や資本の生産性を上げ、技術革新を促すことが重要になります。
「金融緩和は関係ないのか」と言えば、大いにあります。日銀の金融緩和や政府の財政出動は安定成長への入り口に立つ、いわば前提です。これまで財政はたびたび大盤振る舞いされましたが、金融緩和が中途半端だったためにデフレを克服できず、安定成長どころではありませんでした。
今回、ようやく黒田日銀の下で本物の緩和が始まりました。そこで本来の主眼である安定成長を目指す基礎ができたと考えればいいでしょう。しかし、あくまで基礎にすぎません。緩和を土台にして、これから生産性を上げたり、技術革新を促す本体工事にとりかからなければならないのです。
少し脇道にそれますが、この点をとらえて「金融を緩和したって生産性上昇にならないから無駄だ」といった批判がありました。それは基礎を作る話と本体工事をごっちゃにした議論です。
本体工事(生産性向上)が大事なのはその通りですが、そもそも基礎(デフレ脱却)がないのに本体が建つわけがありません。「基礎がいらない」という議論は、言い換えれば「現状はこれで普通なのだ」というデフレ容認論と同じと言っていいでしょう。
本論に戻れば、ではどうやって生産性を高めたり、技術革新を促すのか。その答えが分かれば苦労はありません。
残念ながら、現在の経済学では教育の充実とか自由な競争促進、柔軟な経営組織と労働環境、効率的な政府の存在といった程度のことしか分からないのです。
政府が「これが成長戦略だ」と宣伝していても、実は「やってみなければ分からない」というのが本当です。ただ、多くの国の経験で「技術革新を促すには規制改革が重要」という点は、ほぼ共通理解になっています。
だからこそ、政権が民主党あるいは自民党であるかにかかわらず長年、規制改革が政府の重要課題だったのです。今回の安倍晋三政権でも、農業や医療・介護、電力エネルギーといった分野の改革が成長への鍵を握っています。
これらの分野には、いずれも強固な既得権益団体があります。その岩盤を打ち砕いて、自由な競争環境を築かねばなりません。
◆財政健全化も重要課題
それともう一つ。景気が立ち上がってくれば、財政再建も重要テーマになりますね。先に述べたように、基礎作りには財政出動も必要でした。でも、金融緩和と相まって基礎ができれば財政を健全にしていく努力は不可欠です。
規制改革と財政健全化。いずれも安倍政権は六月に骨太の方針を打ち出す姿勢です。経済政策の真価が問われる局面を迎えます。