特定秘密保護法の問題点は、憲法に規定された知る権利の侵害と政治権力による情報の秘匿、そのことによる悪政の助長、軍事、司法による暴力、謀略、弾圧を促進、助長するからです。そのことは、戦前の日本政治が反対派、民主勢力を治安維持法で弾圧し、侵略戦争の全国民を動員したことを見れば明らかです。安部、自民党極右政権が戦争できる日本、仕組みづくりを目指すことと同時進行なのを見てもその本質、彼らの狙いは明らかです。
反対派、民主勢力の弾圧と同時に、政治権力にとって都合の悪い情報を隠すことは、国民から見れば、非常に大きな損失につながります。知っていれば、政治権力の独裁、暴走を止めることが出来るのに、知らないがために、そのような政治権力の暴走を結果として容認してしまうことになります。そのことは、戦前の日本軍、天皇制政府による情報統制と侵略戦争で数百万の中国、朝鮮などアジア人民、日本人が虐殺、戦死したことを見ても明らかです。
特定秘密保護法を廃止することを目指しますが、当面は、この法律の施行を監視し、権力の恣意的な運用を告発し、彼らの意図を打ち砕く運動を大きくすることが必要です。
<東京新聞>
国民の「知る権利」を侵す恐れのある特定秘密保護法が十日に施行されるのを前に、秘密保護法対策弁護団など法律家八団体が八日、法律の廃止を求める共同声明を発表した。
八団体は参院議員会館で会見した。声明で「強行採決で成立した秘密保護法は憲法の基本理念に反し、民主主義や国民主権を有名無実化させる危険性がある」と批判。「施行に断固反対し、即時廃止を強く求める」としている。
集団的自衛権との関係でも「行使容認と一体となり、武力行使、戦争遂行を可能とすることになる。憲法の平和主義の原則と相いれない」と指摘している。
社会文化法律センター代表理事の宮里邦雄弁護士は「この不当な法律を事実上運用できないようにする必要がある。その世論形成の一端を担いたい。今回の総選挙でも重要な争点になるべきだ」と話した。
八団体は対策弁護団、同センターのほか、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本反核法律家協会、日本民主法律家協会、日本労働弁護団。
特定秘密保護法は「防衛」「外交」「特定有害活動(スパイなど)の防止」「テロの防止」の四分野で、「漏えいが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるもの」を閣僚ら各行政機関の長が秘密指定する。政府の意のままに秘密の範囲が広がり、国民に必要な情報が永久に秘密にされる可能性が指摘されている。
<信濃毎日社説>秘密保護法を追う 運用を厳しく監視しよう
特定秘密保護法があす10日に施行される。政府が指定する特定秘密を公務員らが外部に漏らしたり、漏らすよう働きかけることを禁ずる法律である。
この法律には国民が運用をチェックする仕組みがない。政府が恣意(しい)的に使う心配が否めない。
法案が政治の表舞台に登場したのは2011年夏、民主党政権の時だった。法制化の動きは政権交代を経て連綿と続いてきた。背後には防衛や外務、警察官僚の意図が働いていたはずだ。
そのころから私たちは社説で反対してきた。政府の情報は国民のものであり、仮に一時的に秘密にする場合でもいつかは公開されなければならないと思うからだ。
これから大事になるのは運用に厳しい目を注ぐことだ。法律はとかく独り歩きしやすい。軍機保護法の前例がある。
1937(昭和12)年、盧溝橋事件の5カ月前、政府は軍機保護法の全面改正案を帝国議会に提出した。秘密の対象を「作戦、用兵、動員、出師(出兵)その他軍事上秘密を要する事項または図書物件」に拡大し、最高刑を死刑とした。漏洩(ろうえい)を「扇動」する者を処罰する規定も新設した。
<軍機保護法の前例>
その時の貴族院でのやりとりだ。議員が質問する。
「何が秘密かは軍の独占的解釈による。これでは国民は不安になる。不安を除去できないか」
阿南惟幾(あなみこれちか)陸軍少将が答える。
「一般の方が知り得るような軍事上の事項は、機密、秘密と恐れられるようなことはほとんどない」「人民の権利義務をいたずらに脅かすことはない」
実際には軍需工場での業務を家族や知人に話したことが違反に問われたケースが大半だった。そんな中で、北海道大学生が逮捕され釈放後に死亡する冤罪(えんざい)事件(レーン・宮沢事件)も起きた。
特定秘密保護法の国会審議でも似たやりとりがあった。昨年11月20日、参院の国家安全保障特別委員会の質疑である。
野党議員が質問する。
「秘密と知らず近づいた国民が被疑者扱いされる可能性があり、言論や表現の自由が萎縮する」
安倍晋三首相が答える。
「一般国民が特定秘密を知ることは、まずあり得ない。特定秘密の保護に関わる事態に巻き込まれることは通常考えられない」
軍機保護法の例に照らしても、うのみにはできない。
<知らしむべからず>
秘密は増殖し、社会をむしばむ。米国を見れば分かる。
ワシントン・ポスト紙の記者らによる「トップシークレット・アメリカ」(草思社)によると、9・11テロ以降、政府の秘密部門は爆発的に拡大し、最高機密を扱う政府機関は1074、請負企業は約2千社、機密を扱う資格を持つ人は85万人にのぼるという。 同書に印象深い言葉が紹介されている。「あなた方が知る必要があるのはそれだけです」
政府の情報部門の責任者が議会に呼ばれ、政府の秘密収容所でテロ容疑者に対し拷問など不適切な取り扱いが行われているのではないか、と追及された。
責任者は答えた。「9・11の前と後とでは事情がまったく異なるということです」。そして「あなた方が…」の言葉となる。
一公務員が連邦議会議員に対し「知る必要がない」と言い放つ。機密社会のゆがみである。
秘密法の下で官僚や政治家が情報を国民から隠すことはないか、監視の目を注ぎ続けよう。メディアも一翼を担うつもりだ。
差し当たり、情報公開法と公文書管理法の改正強化を考えたい。
<情報公開法の強化を>
情報公開法では、特定秘密も公開対象に組み込むのがポイントだ。秘密法違反の刑事裁判で、裁判官が秘密指定された文書を自分の目で見て判断するインカメラ審理の導入も欠かせない。
公文書法には抜け穴がある。文書管理のやり方がほかの法律で決まっている場合は対象外となっていることだ。特定秘密も含め、一定期間後には国立公文書館に移して公開する見直しが必要だ。
二つの法律の改正、強化により秘密法の“毒”をいくらかは薄めることができるだろう。最終目標はむろん秘密法の廃止である。
国会の役割も重い。国会に設けられる情報監視審査会には政府に特定秘密を開示させる権限がない。権限の強化が必要だ。両院議長の下に情報専門家による強力なチェックの部署を置き、目を光らせることも考えたい。
国会議員の院内での発言は憲法51条により免責される。委員会などで特定秘密を暴露しても刑事責任を問われることはない。
憲法が議員活動の自由を保護しているのは、国会が国民主権を体現する存在だからだ。全ての議員が責任の重さを自覚して、運用に目を光らせるよう求める。