どの政治課題をとっても自民党型政策は古く、日本社会の今後を切り開くものとなりえていないことを示しています。世界の多くの組は原発廃止、再生可能エネルギー開発に投資、国民理解への取り組みを行っています。なぜならば、チェルノブイリ、アメリカ、日本の福島第一原発事故による巨大な災害への教訓を引き出しているからです。したがって、原子力発電所の建設、使用済み核燃料の処理問題は、すべての原発に共通する回答不能の問題を突きつけています。アメリカ、フランス、イギリス、ロシア、中国などは核兵器を保持する立場から原子力発電所を核兵器製造の必要性から維持を図っています。しかし、核兵器を持たない国家にとって、原子力発電所はまったく無用の産業、装置であり、一刻も早い決別こそが、政治経済の政治課題です。
もう一つは、資源を持たない日本のような国にとって原油、ガスの輸入量を削減し、エネルギーを再生可能エネルギーに転換することは経済的な発展、国の貿易収支を改善する上でもとても大切なことです。さらに化石燃料の枯渇を防ぐ上でも有効であり、安倍、自民党政権の原子力政策、中間整理なるものは化石のような提言でしかありません。
<信濃毎日社説>原子力政策 土台にならぬ中間整理
あいまいな表現を多用しながらも、原発利用推進の姿勢がはっきり表れている。原子力政策の課題を示す「中間整理」だ。経済産業省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会がまとめた。いかに大手電力会社の経営を支え、原発を維持するかに的が絞られている。
政府は中間整理を踏まえ、政策立案に入る。安倍政権は原発依存度を可能な限り低減させ、自然エネルギーを最大限導入すると公約したはずだ。原発に偏った中間整理にとらわれることなく、国民との約束を念頭に、具体策を練らなければならない。
原子力小委は6月に発足し、原発の廃炉、核燃料サイクル、立地自治体への交付金のあり方など、さまざまな課題について話し合ってきた。中間整理で言わんとしていることは極めて単純だ。
2016年に電力小売りが自由化される。18~20年には発送電が分離され、電力会社が経費に報酬を上積みして電気料金を徴収する「総括原価方式」も撤廃される。原発はコスト競争力を失い、電力各社が投資を回収できなくなる恐れがある。今のうちに代替策を―という中身になっている。
例えば、電力市場の自由化後も原発の運用コストを消費者に転嫁する案、廃炉費用の不足を電気料金で回収できる会計規則を適用する案が議論された。中間整理でも政府に検討を促している。
原子力小委は電力会社が負うべきコストを国民に押し付け、原発の建て替えや新増設に道を開く構想を打ち立てている。電力の自由競争をゆがめるばかりか、民意に反し、政権公約とも矛盾する。安倍政権はまだ、どのくらい原発を残すのか明確にしていない。
政府がやるべきはまず、自然エネルギーを含む将来の電源構成比率を早急に示すこと。電力改革を着実に進め、特に送電網を大手電力から切り離し、どの電力事業者も適正な価格で公平に使える仕組みを整えることだ。
原子力小委の委員の大半が原発利用に積極的で、利害関係者であるはずの電力会社の役員が出席して意見を述べてもいる。会合のネット公開を拒み、委員の発言も制限するなど、透明性や公正性が疑問視されている。
安倍政権は、経産省から独立した検討機関を設けることから仕切り直してはどうか。国民の意見を聴く機会をつくり、広く公開しながら体系的なエネルギーの将来像を探る必要がある。中間整理を土台にはできない。