北海道新聞ではなくて東京新聞社説に掲げたことに意味があると思います。大学に電話をしてがんばれと伝えました。同じような電話が何本も入っていると話していました。右翼の恫喝、暴力的威圧に屈するようなことがあれば、大学の自治、言論の自由は全く有名無実になる可能性がありました。
警察も右翼のこのような蛮行を操作し、犯人を突き止める必要があります。安部、自民党極右政権の歴史改ざん、靖国神社参拝が社会的不安を助長し、右翼の行動を誘発していることを許してはならないと思います。
<東京新聞社説>北星学園大問題 暴力に屈せぬは当然だ
脅迫に屈せず、大学の自治や学問の場を守る。元朝日新聞記者の非常勤講師を来年度も雇うと決めた北星学園大(札幌市)の良心と勇気を支持する。市民の支援の輪をさらに広げ、見守りたい。
講師の雇用を継続する理由として、田村信一学長は「暴力による言論弾圧は許されない、という社会的な合意が広く形成されつつある」と述べた。
理念と現実のはざまで大きく揺れ動いたようだ。
大学に対しては早い時期から、講師が記者時代に報じた慰安婦問題の記事をでっち上げと非難する電話やメールが相次いだ。
五月と七月には、講師を退職させなければ、学生に危害を加えるとする脅迫文まで届いた。八月に朝日新聞が慰安婦報道の検証記事を掲載した後は、さらに脅迫や嫌がらせが激しくなった。十月には、脅迫電話をかけたとして威力業務妨害の疑いで、新潟県の男が逮捕される事件も起きた。
大学には学生たちの身の安全を確保すべき責務がある。警備を強化し、財政負担は増える。後を絶たない抗議行動に対応する教職員も疲労困憊(こんぱい)する。
講師との契約更新をいったんは諦める考えに傾いた田村学長の心境も、学生たちの安全をおもんばかれば分からなくもない。
しかし、ひとたび脅迫や暴力に屈して要求をのめば、影響は計り知れない。一大学の信用、信頼問題を超え、さまざまな結社や集会、言論、表現への介入を招きかねない。民主主義が壊れる危険が生じる。
大学が情報を公開し、窮状を訴えたことも賢明だった。危機感を抱いた人たちが「負けるな北星!の会」を結成し、国内外に支援の輪が広がった。行政や警察、弁護士会も連携し、後押しに動いた。
社会の良識を共有し、大学の決断を守り抜きたい。学生たちが安心して学ぶことができるよう力を結集してほしい。
ノーベル平和賞を受賞したパキスタンの少女マララ・ユスフザイさんは、「一人の子ども、一人の教師、一本のペン、一冊の本が世界を変える」と、教育の大切さを訴えた。
女性の学ぶ権利を訴え、そのために武装勢力に銃撃されてもなお、毅然(きぜん)と暴力に立ち向かい、学ぶことを手放さなかった。
彼女の勇気を思い起こしたい。
どんなに厳しくても、教育にかかわる人たちは脅しや暴力に屈してはいけない。