EUが直面するギリシャの財政危機問題は、民とは何か。また、政治が民意をどう受け止めるか。民主主義とは何かを問う政治問題となっているように思います。
ギリシャの政治が、産業構造の転換、社会保障問題を中長期的にどう見通し、扱ってきたかの財政的な帰結が財政破たん問題の1側面ではないかと思います。しかし、だからと言ってギリシャの財政破たんを放置し、見殺しにすることが許されるはずはありません。また、借財の返済に当たってのEU側からの要求がギリシャ国民に受け入れられない限り、その返済実行も担保できません。ギリシャ国民の要求を前提とした再建策をギリシャ政府、EU首脳が協議し、現実的な返済対策をまとめることが必要です。
そのことによるEU諸国の国民、金融機関の理解が必要でしょう。EUという政治経済の地域統合にとって、必要な負担なのだと思います。歴史的にはこのようなギリシャ以外の各国の負担、犠牲が必ず、EUの政治経済の前向きな出来事と記録されることになるでしょう。
政治が、国民要求、民意に寄り添うことは金融、経済優先の新自由主義社会の閉塞感、格差拡大などの政治問題を解決するうえで重要な解決策となることを期待します。アメリカのリーマンショック時にとった各国の財政負担、税金投入に比べたら負担などというような政治経済問題ではありません。アメリカの金融危機は重要だがギリシャ財政破たんは知らないと見殺しをする政治姿勢こそが問題だと思います。