“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

夕張破たん 希望の持てる再建計画を

2016年03月07日 10時20分04秒 | 臼蔵の呟き

明治大正時代に採炭で旧財閥企業は莫大な利益を上げました。国策による廃坑で、産炭地は過疎化、自治体機能の弱体化に見舞われました。夕張もその1つでした。

自治体が財政破たんしたことはその要因を明確にしたうえで、再発させない。しかし、地域住民が住むことができないような返済と財政再建計画は修正しなければなりません。

<北海道新聞社説>夕張破たん10年 希望の持てる将来像を

 過去に目を閉ざしては未来を見いだせない。しかし、過去にとらわれてばかりいては、将来像は描ききれない。

 財政破綻の表明から10年。全国唯一の財政再生団体、夕張市はそんな苦悩の中にある。

 国への借金は計画通り減らし続けている。だが、図書館、美術館は閉鎖、小中学校はそれぞれ1校に統合された。「負の歴史」によって、教育環境の低下が進み、子育てをしにくくしている。再建への取り組みを検証してきた市の第三者委員会が4日、報告書を提出した。

 借金返済最優先の財政再生計画を全面的に見直し、子育て支援の充実や定住促進を図るよう提言。地域再生との調和を求めている。大切なのは住民が夕張の将来に希望を持てるようにすることだ。鈴木直道市長はきょう、総務相に再生計画の見直しを求める。国も夕張の願いを受け止めてほしい。

 夕張市は2006年、約350億円の借金を抱え破綻した。市税や地方交付税など市の実体的な年間収入の8倍もの金額だった。

 財政が国の管理下にある中、市は経費削減を徹底して借金の返済に努め、再生計画を進めてきた。06年4月に260人だった市職員は104人に削減し、給料の大幅カットにも踏み込んだ。

 市民には「最高の負担、最低の行政サービス」を強いる。市民税、軽自動車税は標準より高く、下水道使用料は66%も値上げした。

 これまでに約95億円の赤字を解消したが、計画ではさらに26年度まで10年以上、毎年約26億円の返済を続けなくてはならない。

 人口は破綻当時の1万3千人から8千人台にまで減っている。

 借金を返すのは当然だ。だが、返済に追われてまちが崩壊しては元も子もない。

 全国の自治体は、子どもの医療費を無料とする年齢を引き上げるなど、若者の定住に知恵を競う。

 夕張市が借金返済一辺倒では、その流れから取り残される。必要な施策を行えるよう自治体としての裁量権がほしい。

 市は策定中の地方版総合戦略の柱の一つに、子育て世帯らへの住宅対策を据えた。炭層メタンガスを活用した新エネルギー開発も目指す。

 財源として国、道の支援を求めるとともに、産炭地時代に縁のあった会社などから、企業版ふるさと納税にも期待をかける。

 国も新たな枠組みで夕張の将来像を考えてはどうか。


首長の66%が原発低減求める 全自治体調査、防災見直しも

2016年03月07日 09時24分17秒 | 臼蔵の呟き

当然といえば、当然のことです。原発立地自治体は原発マネーの恩恵(現実は麻薬のような資金)で正直な判断ができない。さらに、原発による雇用があり、自治体の住民は、原発依存度を高め、原発が中れば、収入減が断たれる。したがって、原発に反対するなどはもってのほかということになります。―――ところが、その原発によって、福島県の立地自治体と住民は、放射能汚染により、全町、全村避難を強いられました。現在に至るまでです。目先の利益による判断がいかに、長期的にみて有害な選択であったかを原発事故と福島周辺自治体は問うているのだと思います。

鹿児島川内、福井県高浜はその教訓を無視してはならないはずです。自民党型政治と原子力関連産業による利益誘導、資金は結果的に関連自治体を無力化し、地域の正常な発展を阻害する何物でもありません。

<東京新聞>首長の66%が原発低減求める 全自治体調査、防災見直しも

 東京電力福島第1原発事故から5年を迎え、全国の知事と市区町村長の65.6%が原発のエネルギーに占める比率を引き下げるか将来的にゼロとするよう求めていることが共同通信のアンケートで分かった。内訳は比率低減が44・6%、全廃は21・0%で「原発の安全性や核廃棄物処理への不安を解消できない」として再生可能エネルギーへの転換を望む声が目立った。

 また原発事故に備え46.6%の自治体が避難路確保や住民への情報伝達などを改善し、防災計画を見直していることも判明した。

 アンケートは全自治体が対象で、99・6%に当たる1782が答えた。(共同)


東日本大震災が何を問うているのか

2016年03月07日 07時07分27秒 | 臼蔵の呟き

震災当初から被災地復興への関心が薄れることを自治体の長たちは恐れていると語っていました。つらく苦しいことを忘れることで、精神的な痛み、つらさから立ち直りたい。―――この感情は、何人も免れることはできませんし、止める必要もありません。しかし、津波被害から復旧、復興を果たすことはそうたやすいことではありません。地域全体が住宅を破壊され、公共施設、商業施設、道路などをすべて再建しなければならず、短期間にすべて再構築することができるはずもありません。

被災地の住民、自治体が十分だと考えるまで政治が、その復旧、復興を支えるのが基本です。何年と期限を切って、復興を加速させることがあっても、期限を切ることで、復旧作業を中断させるかの政策判断を正当化してはなりません。もともと、東京都首都圏以外は過疎化、限界集落の危機に直面していました。その中で起きた震災、津波被害であり、地域全体が地盤沈下し、自治体機能が維持できない可能性すらあります。

今回の震災、津波は福島第一原発の事故を引き起こしており、原発の安全神話、自民党型政治が宣伝してきた成長と安全神話の虚構を災害という形を通じて証明しました。知らなかった、深く考えなかった。などなどが、事故後の感想として語られました。成長至上主義、大量生産・大量消費がたの浪費経済などに対して疑問が提起されました。5年たっても何一つ変わらない自民党型政治と、自己責任論、さらにひどくなった汚職腐敗、貧困と格差拡大を是正する社会を作らなければなりません。

<琉球新報社説>震災5年フォーラム「肝苦さん」の心発揮しよう

 未曽有の犠牲者を出した東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からもうすぐ5年を迎える。被災地の現状を共有し、沖縄から支援の在り方を探る「フォーラム3・11 今できること」が催された。

 大震災と原発事故を決して忘れず、人の痛みをわが事として受け止めて寄り添う沖縄の「肝苦(ちむぐり)さん」の心を発揮する必要性を再確認する場となった。
 エネルギーと安全保障の負担が1地域に押し付けられる点で福島と沖縄を重ね、地方から中央に異議を申し立てる重要性を説く発言も相次いだ。賛同を表したい。

 フォーラムは、社会基盤を破壊し尽くした大津波と、愛する故郷に住めない人を生み出した過酷な原発事故に共通する重要課題が、被災者の「心の復興」であることを照らし出した。
 沖縄から福島に移った精神科医の蟻塚亮二氏は地域共同体やなりわいを失った原発事故被災者の診察を踏まえ、「国や東電が原発事故の責任を認めず、喪失から再起を図る住民の心の傷が回復しない」と厳しく批判した。避難住民を「日本の難民」と位置付けた報告が痛切に響いた。被災者の心をケアする施策充実が急務である。
 5年間の集中復興期間が終わる2016年度から多くの策が打ち切りとなる問題は、被災者に重くのしかかっている。
 被災地の実情を発信し続ける寺島英弥氏(河北新報編集委員)は「仮設住宅を出る住民は『生き直し』の厳しい選択を迫られるが、政府は幕引きにかじを切っている。おかしなことにはおかしいと言い続けねばならない」と訴えた。

 福島などからの避難者でつくる沖縄じゃんがら会会長の桜井野亜さんは県内の公的支援縮小への不安に触れつつ、「精神的な不安が生活に影響する避難者に寄り添ってほしい」と望んだ。交流イベントなどを通し、被災の教訓を学び生かすうねりを県内で広げたい。
 「被災地は『風評被害』と『風化』の二つの風と闘っている。自分で見聞きすることで真実を確認してほしい」。福島県いわき市で被災者支援に取り組む里見喜生氏は被災地訪問を呼び掛け、「自分ごと」の意識が風化に歯止めをかけると強調した。

 岩手県宮古市の復興事業に携わる高橋晃氏は被災地に向き合う姿勢として「記録、記憶、継続」を提唱した。沖縄から「肝心(ちむぐくる)」を発揮する土台として刻みたい。