“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

ばくち型金融政策を止めること ECB追加緩和 通貨安競争招く

2016年03月15日 11時00分29秒 | 臼蔵の呟き

「市場の催促を受け、各国が金融緩和を繰り返すのは不健全と言わざるを得ない。こうした状況に歯止めをかける必要がある。」

デフレ経済の要因が、何かを事実に即して、分析し、長期的に考えた経済対策を講じない限り、対処療法的な対策に終始する限りは、問題は解決しません。市中への異常な資金供給、為替変動による通貨引き下げ競争、異常なマイナス金利などでデフレ、景気低迷と経済構造の改善、転換をすることは不可能です。2012年から2016年3月までの自民党経済政策と日銀による金融政策で立証されています。

国民の貧富の格差拡大と貧困化が極端に深刻化している政治経済構造を転換しない限り、デフレ、経済低迷は改善することがないことは自明のことです。――安倍、自公政権が大手企業の収益が改善すれば、中小零細企業、労働者にその収益が順次、回るとする説明を行っています。しかし、現在の新自由主義政治経済を信奉する先進工業国――アメリカ、日本、イギリス、EUなど経済の低迷、デフレ経済に直面していることがそのことを証明しています。

大量生産、大量消費型経済がもつ浪費構造と限界が明らかとなっています。大企業、多国籍企業、巨大金融機関中心と優先の経済構造も見直す必要があります。問題なのは市場と企業に資金が不足しているからではなく、経済構造が変化していることを無視して、成長至上主義に基づく金融緩和、投資強要などは、問題を一層複雑にするだけです。

環境保護、再生可能なエネルギー構造、食料の確保を世界が目指すこと。一人一人の国民が、安心して暮らせる収入と労働環境を作り、貧困の解消を目指すこと。これらを国が政策として整合性をもって優先順位を決めて実行することです。

<北海道新聞社説>ECB追加緩和 通貨安競争招きかねぬ

 欧州中央銀行(ECB)は包括的な追加金融緩和策を決めた。

 金融機関がECBに余剰資金を預ける際に手数料を課すマイナス金利を0.3%から0.4%に拡大するとともに、国債などの資産を買って市場に資金を供給する量的緩和を強化するのが柱だ。

 月間の資産購入規模を600億ユーロ(約7兆5千億円)から800億ユーロに増額する。マイナス金利の拡大は昨年12月以来で、銀行に貸し出しや投資を促す。

 2月のユーロ圏の消費者物価は前年同月比で0・2%低下し、2%弱の上昇目標にはほど遠い。

 予想を上回る規模の追加緩和は、このままではデフレに陥るというドラギECB総裁の強い危機感の表れと言える。

 しかし、ECBがこれまでに実施した緩和策に期待されたほどの効果があったか疑わしい。

 追加緩和によってユーロ安になれば、他の中央銀行も追随して通貨安競争を招く恐れもある。

 むしろ副作用を警戒し、金融緩和頼みの経済運営から脱する道を探るべきだ。

 ECBは2014年6月にマイナス金利を採用し、昨年3月からは量的緩和にも踏み切ったが、物価を押し上げる効果を発揮したとは言い難い。

 今回、16年のユーロ圏の物価上昇率の見通しは1.0%から0.1%に大きく下方修正された。このところ銀行の融資はある程度伸びているものの、経済成長率は低水準で推移している。逆に、マイナス金利は金融機関の収益を圧迫し、南欧の銀行を中心とした不良債権処理の重荷になりかねない。

 緩和マネーの流入により、不動産市場の過熱といったバブルの懸念も指摘されている。

 欧州では非ユーロ圏のデンマーク、スイス、スウェーデンもマイナス金利を採用している。ユーロ圏との関係が深いこれらの国は、ユーロ安が進めば、対抗して金利引き下げを迫られるだろう。

 こうした動きが広がれば、20カ国・地域(G20)による通貨安競争回避の合意にも反する。

 ECBは昨年末の緩和策が市場の失望を招いたため、今回、政策の総動員を余儀なくされた形だ。日銀も年明け以降の金融市場の混乱を受け、マイナス金利の導入に踏み切った。

 市場の催促を受け、各国が金融緩和を繰り返すのは不健全と言わざるを得ない。こうした状況に歯止めをかける必要がある。


トランプ現象の意味するもの

2016年03月15日 10時00分55秒 | 臼蔵の呟き

「世界金融危機から8年経った今も、先進国の労働者はまだ賃金の伸び悩みや財政緊縮プログラム、雇用機会の縮小に直面している。」

「トランプ氏はホワイトハウスにはたどり着けないだろうし、ルペン氏もエリゼ宮にはたどり着けないだろう。しかし、彼らはその道中で政治を荒廃させていくことになる。」

「最も重要なポイントは、政治の議論を粗野な悪口雑言に、そして事実を偏見にすり替えることにある。」

<フィナンシャル・タイムズ>

トランプ現象を笑えない欧州

議論を批難に、事実を偏見にすり替えるポピュリストたち 

 こんなことが起こるのは米国だけだ。ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補指名を獲得しようとする中、ほかの国々は、困惑したり、唖然としたりしながら見守っている。 友好国の反応には、見下したような雰囲気がかすかに混じることがある、と言って構わないだろう。

 国のトップの公職を目指す人物が自分のペニスのサイズを公の場で自慢するなどということは、目を見張るほど低俗な米国をおいてほかにどこで起き得るだろうか?

 共和党の指名争いでトップを走るこの人物は、一見すると、唯一無二の存在だ。不謹慎な言葉遣い、バーコード頭、女性不信、キレやすさ、ニューヨークの不動産開発で財をなした人物が国民の保護者を気取るばかばかしさ――。どれを取ってもほかの候補者にはないものだ。

 しかし、取り澄ましたヨーロッパ人は、判断を下すにあたり、慎重になるべきだ。人々の怒り、外国人嫌いのナショナリズム、権威主義、そして隣人窮乏化をもたらす貿易の保護主義などについて説明を求める人は、自分の背後を肩越しに見るだけで事足りるからだ。

 大西洋をまたぐ政治的反乱

 この物語には、トランプ氏の性格だけでは説明できない部分がある。彼は原因ではなく結果であり、大西洋をまたぐ政治的反乱の不快な「顔」だ。

 多くの先進的な民主主義国では、トランプ氏が共和党の予備選に加わるずっと前から政治の言葉遣いが変化していた。

 かのリンカーンの党が、自ら生み出したとんでもない生き物によって破壊されるリスクを冒しているとするなら、コンセンサス(合意)を目指す中道の欧州モデルもかなり前から脅威にさらされている。

 トランプ氏の才能は――そう呼べるならの話だが――、波に乗ることに発揮されているのだ。

トランプ氏は、エリートによる陰謀が米国の中間層を裏切っていると主張しているが、欧州のポピュリストたちもこれと同じ陰謀論に怒りをぶつけている。ポピュリズムを共有する両者を結びつけているのは、怒れるナショナリズムと国家介入だ。

 欧州の人々はかつて、これを国家社会主義と呼んでいた。トランプ氏は、メキシコ人を国外追放し、イスラム教徒の入国を禁止することを望んでいる。

 フランスでは国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が、イスラム嫌いと国家資本主義の綱領を掲げて大統領の座を目指している。両者とも臆面もなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を称賛している。

 スロバキアでは先日、不気味な黒の制服や稲妻のマークをそろえた、ネオナチを誇る政党が国会の議席を獲得した。その隣のハンガリーではビクトル・オルバン首相が、イスラム教徒に敵対的で反ユダヤ主義に寛容な権威主義的な体制を率いており、自国の経済不振は外国資本のせいだと主張している。ポーランドの政治も外国人嫌いの右派に大きく傾いている。

 スカンジナビア諸国とイタリアではナショナリストが勢力を伸ばしている。そして極右のポピュリストが移民を罵る一方で、彼らによく似た極左勢力もこれに加わり、自国の経済不振はグローバル化のせいだと毒づいている。

 これまで欧州大陸の政治的安定の要石(かなめいし)だったドイツでも、欧州懐疑派で反移民派の政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭に反乱の萌芽が見て取れる。

 英国では、欧州連合(EU)からの離脱を目指す運動に独自のポピュリストの傾向が見て取れる。トランプ氏はバリケードを作ることで米国を再び偉大な国にすると公約している。野心的なボリス・ジョンソン・ロンドン市長は、ブレグジット(英国のEU離脱)を実現させれば英国が国境の「支配権を取り戻せる」と約束している。

 よそ者とエリートへの擦り付け

こうした激しい変化に驚くべきではない。ポピュリストが影響力を持ったのは、少なくともその不満の一部は実感を伴うリアルなものだからだ。

 世界金融危機から8年経った今も、先進国の労働者はまだ賃金の伸び悩みや財政緊縮プログラム、雇用機会の縮小に直面している。 欧州では、シリアその他の紛争地域から大量の移民が流入しているために、経済面の不安に文化や民族に関係した不安が上乗せされている。

財産や地位を奪われた人、さらには新たに不安定な立場に置かれた人が周りを見回せば、混乱をもたらした張本人――銀行家、独りよがりの政治家、怠惰な規制当局者――がほとんどかすり傷しか負っていないことに気がつく。

そこに、グローバル化の配当は長い間最も豊かな上位1%の富裕層にしか支払われていないという不愉快な事実を考え合わせれば、人々が落胆しているかもしれない理由が分かろうというものだ。

不平や苦情が本物であるならポピュリストによる処方箋も本物であるに違いないという間違った類推に、過ちと深刻な危険が潜んでいる。

権威主義や孤立主義(トランプ氏たちが提示しているのは本質的にはこの2つだ)は答えにならない。また、たとえ計算が合ったとしても、歳出増と減税というトランプ氏のレシピは答えにはならない。世界に目を向けてみるといい。

国家資本主義と呼んでも国家社会主義と呼んでもいいが、こうした政策は過去何十年にもわたって徹底的に試され、破滅をもたらしてきた。ロシアやベネズエラの様子を見てもこの点は明らかだ。

人々の恐怖をあおるトランプ氏のやり方には、クー・クラックス・クラン(KKK)の白人至上主義者に関する計算された曖昧さ、米国が敵を扱う手段としての拷問への支持、そしてメキシコからの移民にレイプ犯だの人殺しだのといったレッテルを貼り付けることが必要になる。

欧州にいる彼の友人たちにとっては、これはすべての問題の責任をよそ者とエリート――イスラム教徒、カトリック教会、ブリュッセルのEU官僚、主流派の政治家など――を負わせることを意味する。最も重要なポイントは、政治の議論を粗野な悪口雑言に、そして事実を偏見にすり替えることにある。

扇動にはまともな答えなど存在しない。現代の政府の複雑さと日々格闘している人々がトランプ氏と怒鳴り合いをしても勝てるはずはない。しかし米国の共和党支持者が学んだのは、そして欧州の人々が注目する必要があるのは、粗野なポピュリズムに軽い気持ちで手を出す主流派の政治家は常に出し抜かれるということだ

トランプ氏はホワイトハウスにはたどり着けないだろうし、ルペン氏もエリゼ宮にはたどり着けないだろう。しかし、彼らはその道中で政治を荒廃させていくことになる。

By Philip Stephens


民主党の衰退はなぜ進行したのか

2016年03月15日 09時10分30秒 | 臼蔵の呟き

「首相は自らの政策の正当性を主張し続け、在任中の憲法改正にも意欲を示す。一連の国政選挙は安倍政治や憲法改正の動きに歯止めをかけられるか否かの分岐点だ。新党結成を機に、野党勢力の幅広い結集も目指さねばなるまい。」

 政党が国民の支持を失い、少数政党になる。その要因は、国民の期待を裏切る。国民の期待を政党として受け止め、政治の舞台で実現できない。そのことに尽きると思います。

 ではなぜ、国民の期待を実現できない、失ったのか。そのことが分析され、総括され、その総括に基づいて、次の政策、方針が立案されなければなりません。今回の民主党の他党との合流、新党結成は、その意味では全く総括がなされず、単なる数合わせに終始しています。そのことで、民主党が国民から支持を失った問題は何も解決していません。

 安部政権が、国会の場で、民主党政権時代を馬鹿にして、「民主党政権だったから失敗した。」自民党政権は違う。自民党は失敗をしない。と、予算委員会、本会議における討論で挑発をします。民主党政権がなぜ、国民の支持を失ったかは明確です。09年総選挙で約束した選挙公約をことごとく投げ捨てーーー消費税率の引き上げに狂奔し、自民党・公明党との三党合意を行い、法案の強行採決を行ったこと。TPP協定交渉に参加したこと。社会保障制度でも消費税率の引き上げを一方で行いながら、切り下げを提案したこと。放任税率の引き下げも大企業と多国籍企業の要求に基づき提起しました。これらの政策は、政権交代後の安倍、山口自公政権がそのまま受け継ぎ実行するほど、―――自民党型政治の主要政策でした。したがって、自民党型政治に幻滅し、政権交代を要求した国民の期待を裏切った。だからこそ、民主党が2012年総選挙以来、選挙を行うたびに、議席数を減らし、交代したのです。沖縄などは県議会で議席数を0にしています。北海道でも札幌市北区などは民主党の支部組織が消滅しています。

 民主党が政権から転落し、長期的になぜ衰退しているかです。その理由は、党の綱領が確立していないからです。政党が綱領をきちんと論議し、明文化し、その綱領に基づいて党員が結びつかない限り、烏合の衆と化すのは自明のことです。政党助成金目当ての離合集散を繰り返しても、国民の支持を受けることはないでしょう。

<東京新聞社説>「民進党」結党へ 政策具体化を急がねば

 「民進党」は野党勢力を結集して安倍晋三首相率いる巨大与党の対抗軸となれるのか。党名を変えても、実現を目指す政策や理念が主権者たる国民を引きつけなければ、政権の暴走は止められまい。

 民主党と維新の党がきのう、合流して二十七日に結成する新党の名称を「民進党」に決めた。

 党名に「民主」を残したい民主党が「立憲民主党」を、維新の党が「民進党」をそれぞれ主張して調整が続いていたが、両党が十二、十三両日に行った世論調査で、民主党支持者を含めて「民進党」を推す声が多かったという。

 共同通信社による二月の世論調査では民主、維新両党の合流に関し「一つの党になる必要はない」との答えは65・9%に上る。新党への期待は高くないのが実態だ

 1996年の旧民主党の結党以来、国民に定着した「民主」の名を新党への移行で変更する必然性はあまり感じないが、政権を託すに足る政党を再び目指す気概の表れなら、あえて異は唱えまい。

 民進党には「国民とともに進む」(江田憲司維新の党前代表)との意味が込められているという。現政権がしばしば無視しようとする国民の声を大切にしようとする政治姿勢を忘れてはならない。

 名は体を表す。党名は重要ではある。ただ、それにも増して政党にとって重要なのは、どんな社会を目指すのかという理念と、それを実現するための政策だ。

 新党は綱領で「自由、共生、未来への責任」を結党理念とし、借金依存体質を変える行財政改革や二〇三〇年代の原発稼働ゼロ、持続可能な社会保障制度確立、行きすぎた格差の是正を目指し、外交・安全保障では専守防衛を前提に現実主義を貫く、としている。

 その方向性は全体としては望ましいとしても、どうやって実現するかが厳しく問われる。例えば、行財政改革と社会保障の維持をどう両立するのか、格差をどう是正するのか、などである。

 四月に衆院補選、今年夏には参院選があり、首相が「衆参同日選挙」に踏み切る可能性も取り沙汰されている。政策の具体化を急ぎ、安倍政治とは違う選択肢を有権者に示すことが民進党最初の役目となる。

 首相は自らの政策の正当性を主張し続け、在任中の憲法改正にも意欲を示す。一連の国政選挙は安倍政治や憲法改正の動きに歯止めをかけられるか否かの分岐点だ。新党結成を機に、野党勢力の幅広い結集も目指さねばなるまい。