“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

金融政策、マイナス金利で経済問題は解決しない。

2016年03月12日 09時38分55秒 | 臼蔵の呟き

デフレ経済の最大要因が、何かを事実に即して、分析し、長期的に考えた経済対策を講じない限り、対処療法的な対策に終始する限りは、問題は改善しません。異常な市中への資金供給、為替変動による通貨引き下げ競争、異常なマイナス金利などでデフレ、景気低迷と経済構造の転換をすることは不可能です。2012年から2016年3月までの自民党政権と日銀による金融政策で立証されています。

大量生産、大量消費型経済がもつ浪費構造と限界が明らかとなっています。大企業、多国籍企業、巨大金融機関中心と優先の経済構造も見直す必要があります。軍事産業を除けば、その生産物は国民である普通の人々が購買、消費することで基本的には成り立っています。したがって、その国民の貧富の格差拡大と貧困化が極端に深刻化している政治経済構造を転換しない限り、デフレ、経済低迷は改善することがないことは自明のことです。――安倍、自公政権が大手企業の収益が改善すれば、中小零細企業、労働者にその収益が順次、回るとする説明を行っています。しかし、現在の新自由主義政治経済を信奉する先進工業国――アメリカ、日本、イギリスなどがすべて経済の低迷に直面していることを見れば、彼らの説明がいかにインチキで、国民を馬鹿にした説明かがわかります。

問題なのは資金が不足しているからではなく、経済構造が変化していることを無視して、成長至上主義に基づく金融緩和、投資強要などは、問題を一層複雑にするだけです。

資源浪費型経済構造を転換し、再生可能な経済構造を作ること。多国籍企業、大企業中型経済運営を止めること。環境保護、再生可能なエネルギー構造、食料の確保を世界が目指すこと。一人一人の国民が、安心して暮らせる収入と労働環境を作り、貧困の解消を目指すこと。これらを国が政策として整合性をもって優先順位を決めて実行することです。

 [韓国経済新聞]韓経【コラム】マイナス金利、「過猶不及」の教訓

  2008年に米国で発生したグローバル金融危機というウイルスは、恐ろしい伝染力を見せている。欧州財政危機が続くと、逆オイルショックを通じて中東およびアフリカの産油国に打撃を与え、今や中国まで伝染する兆しを見せている。 

  問題は処方だ。もともとは緩和的な財政政策と通貨政策をうまく混ぜて治療するべきなのに、多くの国が過去に国家負債を放漫に増やしたために拡大財政政策という良い処方は実行するのが困難だった。そうするうちに膨張的な通貨政策という単一処方で危機という病気を治療するべきなのにウイルスがあまりにも強いためにワクチン処方も一層強くなっている。量的緩和にマイナス金利という非伝統的な処方が出てきたが、問題はこれによって通貨部門に過重な負荷がかかりながらワクチンの副作用も深刻化しているという点だ。 

  量的緩和政策は、金利がゼロ水準になっても通貨を増やし続ける政策だ。この時、通貨の発行は主に銀行が保有する多様な債券を中央銀行が買い入れて債券代金を支給する形で実行される。銀行に貨幣が供給されながら銀行は流動性が豊富になり状態が良好になった。問題はこのようにして流動性を供給された銀行が、積極的に貸し出しを執行し始めて不良融資が増えたという点だ。もちろん銀行がひとまず積極的に融資を執行してこそお金が回って景気が浮揚する。しかし景気好転が遅れれば逆に不良融資が増加しながら銀行の収益性と健全性が損なわれる。ジレンマ的な状況が訪れたのだ。もはや欧州を中心に金融機関の株価は暴落し、再び金融危機の可能性まで提起している。 

  マイナス金利という政策処方も問題だ。マイナス金利政策は都市銀行が中央銀行に資金を預けておいても金利を支給せず保管手数料を取る政策だ資金を中央銀行に預けておかずに市中に流通させろという強力な信号だ。だが量的緩和によって増えた途方もない資金を、市中に全て流通させることはかなり難しい。金利水準がマイナスになりながら預金利子や貸し出し利子は大幅に下がり、預貸マージンは顕著に減って、銀行収益性は一層悪くなっている。マイナス金利を導入したデンマークとスウェーデンは銀行が不動産担保融資を積極的に執行し始めながら不動産バブルによる危機の可能性が高くなっている。もちろん非伝統的な通貨政策を通じて貨幣発行を急激に増やせば自国通貨の価値が下がりながら自国企業の輸出に有利な環境がつくられるが、これは主要国家間の為替レート戦争を誘発させながら国家間の摩擦が高まり効果は減る。

韓国はどうなのか。韓国経済内でも不良融資が増加しており金融機関が中心となって企業・産業の構造調整を断行しなければならない状況が訪れた。一部では危機克服のために量的緩和やマイナス金利政策の施行に対する検討が必要だという主張も聞こえる。だが、このような政策は金融機関の収益性と健全性に大変な負担を与える恐れがあり、そうでなくても収益基盤が脆弱な国内の金融機関が途方もない打撃を受ける可能性がある。追加の金利引き下げを通した伝統的なアプローチは分からないが、非伝統的な処方は非基軸通貨国の韓国としては非常に気をつける必要がある。 

  危機克服のための処方が金融機関に打撃を与え、かえって金融機関発の危機の可能性を高める様子を見ながら、今回の危機がいかに大きく複雑な様相を持っているのか改めて感じることになる。また今回の危機の対応過程を見ながら危機の克服も財政政策や通貨政策そして各種のミクロ的政策の適切な組み合わせを通じて適切に多角化され、バランスが取れているように施行されなければならないという教訓も得ることになる。ウイルスがあまりにも強い状況で非伝統的な通貨政策まで導入しながら1つのワクチンで病気を治療してみたらワクチンの効能は強くなったが副作用も大きくなってしまった。今や薬効が良いからとむやみに使えば、ワクチンの副作用により人体が壊れる状況になってしまったのだ。過猶不及(過ぎたるは猶及ばざるがごとし)という言葉をしきりに思い浮かべる近頃だ。 

  ユン・チャンヒョン ソウル市立大学教授・公的資金管理委員会民間委員長