春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

大銀杏倒れる

2010年03月10日 | 日記
鶴岡八幡宮の大銀杏が根元から折れたというニュースに驚いた。要約すると、3月10日午前4時15分ごろから
5分おきに「ドンドン」という音がした。同40分ごろ、雷が落ちるような音がしたたので警備員が外へ出ると、
大銀杏が倒れていた。当時、強風が吹いていたという。

高さ約30メートル、幹の周囲6・8メートル、樹齢千年といわれていた大銀杏が強風によって倒壊したのだ。
大銀杏は神奈川県指定の天然記念物にもなっていた。この大銀杏は、鎌倉幕府の3代将軍源実朝を殺害した公暁が、
この大銀杏の陰に隠れていたという言い伝えから、別名「かくれ銀杏」とも呼ばれていた。

解説書によれば、実朝殺害事件は、健保7年(1219年)正月、実朝が右大臣となり、鶴岡八幡宮に拝賀した際に起き
ている。公暁はこの大銀杏のあたりで実朝を待ち伏せ、殺害した。事件の背景には北条氏の陰謀があったと伝えられ
ているが、その後の北条一族の権勢を見れば、それもうなづける。

公暁は、実朝の兄で2代将軍頼家の子、実朝の甥に当たる。当時、公暁19歳、実朝28歳だった。殺害された実朝は
和歌に秀で、歌集『金塊集』を残しており、歌人として有名だった。源氏の正統な血筋はこの悲劇によって絶えた、
と書かれている。

銀杏の枝には、いつもたくさんのおみくじが結わかれていた。千年の風雪に耐え、歴史を見続けた銀杏だったが、
それも限界に達したのだろう。巨星堕つ、大銀杏の倒壊には、せつせつたる哀傷を感じさせられる。

再生を心から願いたい。