田舎色のままに
田舎色は月に沈んだ茅葺き屋根に蔓延る苔色
荒れ果てたようで己を光らせて止まない
クネクネ細長い道は田舎色
どんくさい虫の心根 うつ向いて歩けば一等星二等星の歩みより真っ直ぐだ
一路の細長いクネクネ道
田舎色の命とあるに尽きる
田舎色は命あるに尽きる
田舎の色のまま
田舎の匂いでいよう
海部郡美波町山河内
山の穴
急な坂に苦しみながら
急斜面にへばりつく家
人は山を降りてあばら屋
便りは途絶えて草ぼうぼう
月を目でないススキに愛でられてススキ原
家人なきあばら屋の庭に
柿のみの鈴なり
居たくてもとどまれない傷み
戻れない悔しさが柿の鈴なり
高い遠い山より押し寄せる水流
深山の清水は寂しいほど透明で溢れる
激しさ勢いに流される
冷たさにやられた
倒壊寸前のあばら屋裏山に掘られた穴一つ防空壕
岩肌からシトシト空き缶を鳴らし人恋しさを駆り立てる晩鐘
奥山の静寂さに響く人恋し晩鐘
山の穴
急な坂に苦しみながら
急斜面にへばりつく家
人は山を降りてあばら屋
便りは途絶えて草ぼうぼう
月を目でないススキに愛でられてススキ原
家人なきあばら屋の庭に
柿のみの鈴なり
居たくてもとどまれない傷み
戻れない悔しさが柿の鈴なり
高い遠い山より押し寄せる水流
深山の清水は寂しいほど透明で溢れる
激しさ勢いに流される
冷たさにやられた
倒壊寸前のあばら屋裏山に掘られた穴一つ防空壕
岩肌からシトシト空き缶を鳴らし人恋しさを駆り立てる晩鐘
奥山の静寂さに響く人恋し晩鐘
小松島市しおさい公園
親父ひとり愛
親父と息子たちの公園
小さなつくりは絆を強くして蔦の隙間を許さないである
手と手を繋いだ輪
切れ目ない和が出来上がり涙なんか流さない
親父の誇り
若木三本の地下径に徹してスクスク成長させた
スクスクと有ることが誇り
親父の唯一の涙
親父ひとりの訳
息子たちに燦々と降り注ぐ日射しの温かさ味わせたかった 親父ひとり愛
息子たちは謳う
親父ひとり愛 地下径として徹した親父を母とも思ってきたと謳う
水に光と親父は閃き
天晴れ真実一路は息子たちに降り注ぐ
親父と息子たちの小さくても見事な公園
そんな名もない場所に心底よりの雨が似合う
徳島市 高速道路架橋工事
体内ブロック
それ以上それ以下もない
蚊は一定の高さだけを
風まかせすかすか飛行
命令 服従を課されない
目立ちたい高さに止まって永く居座るとか
自由度で満たされる体内ブロックは普遍の平和
それ以上それ以下もない予測不能の飛行で瞬く蛍
短い夏一夜
視界不良の闇を賢者になろうと瞬き
強風に煽られて水面スレスレ
それでも光ろう
それでも羽ばたいて充電
突出した峰を掠めよう
高みを極めて瞬きたい
黒い欲望体内ブロック
積み重ねた距離を測ろうとしても実体との悶々
夜空に燦然と輝く星の力量
我が瞬きの遠さに悶々
短い一夜一晩にふわりと光跡の乱舞
蛍は体内ブロックを打破して賢者へ自由度の舞
あおあお広場
坂道をゆっくり下ると
ドンドン田園は広がっていくのに
そこに至ろうとすれば青く霞む山々になってしまうような
坂道を降りきると同じ目線であたふた
空気 ふうふう吹きつけたこそばさの感触で広場は幻へひろがりそう
それはときめいた場所
それは透明な緑の伸び代なのに
田園の片隅どころか
田園の至る所にあったはずなのに
田んぼ真ん中に取り残された廃校にブランコで固まったまま
ピクニック公園で敷いた淡いナフキンは徐々に縮まり
敷き詰めたい青々したナフキンは重たすぎて包み混まれてしまう
ふわふわな自分の袋から
ときめきを呼び覚ました時
透明感を取り戻した肉体は山々にあおあお広場
はっきりとらえた