望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

田舎色のままに

2019-11-06 15:47:40 | 望郷クリームソーダ

田舎色のままに

田舎色は月に沈んだ茅葺き屋根に蔓延る苔色
荒れ果てたようで己を光らせて止まない

クネクネ細長い道は田舎色 
どんくさい虫の心根 うつ向いて歩けば一等星二等星の歩みより真っ直ぐだ
一路の細長いクネクネ道
田舎色の命とあるに尽きる

田舎色は命あるに尽きる
田舎の色のまま
田舎の匂いでいよう







晩鐘 山奥の穴

2019-09-28 16:30:50 | 望郷クリームソーダ
海部郡美波町山河内

山の穴

急な坂に苦しみながら
急斜面にへばりつく家
人は山を降りてあばら屋
便りは途絶えて草ぼうぼう
月を目でないススキに愛でられてススキ原
家人なきあばら屋の庭に
柿のみの鈴なり
居たくてもとどまれない傷み
戻れない悔しさが柿の鈴なり

高い遠い山より押し寄せる水流
深山の清水は寂しいほど透明で溢れる
激しさ勢いに流される
冷たさにやられた
倒壊寸前のあばら屋裏山に掘られた穴一つ防空壕
岩肌からシトシト空き缶を鳴らし人恋しさを駆り立てる晩鐘
奥山の静寂さに響く人恋し晩鐘






親父ひとり愛

2019-07-03 20:33:50 | 望郷クリームソーダ

小松島市しおさい公園

 親父ひとり愛

親父と息子たちの公園
小さなつくりは絆を強くして蔦の隙間を許さないである
手と手を繋いだ輪
切れ目ない和が出来上がり涙なんか流さない

親父の誇り
若木三本の地下径に徹してスクスク成長させた
スクスクと有ることが誇り
親父の唯一の涙
親父ひとりの訳
息子たちに燦々と降り注ぐ日射しの温かさ味わせたかった 親父ひとり愛 

息子たちは謳う
親父ひとり愛 地下径として徹した親父を母とも思ってきたと謳う
水に光と親父は閃き
天晴れ真実一路は息子たちに降り注ぐ

親父と息子たちの小さくても見事な公園
そんな名もない場所に心底よりの雨が似合う



体内ブロックの高み

2019-05-29 20:00:32 | 望郷クリームソーダ

徳島市 高速道路架橋工事

体内ブロック

それ以上それ以下もない
蚊は一定の高さだけを
風まかせすかすか飛行
命令 服従を課されない
目立ちたい高さに止まって永く居座るとか
自由度で満たされる体内ブロックは普遍の平和

それ以上それ以下もない予測不能の飛行で瞬く蛍

短い夏一夜 
視界不良の闇を賢者になろうと瞬き
強風に煽られて水面スレスレ

それでも光ろう 
それでも羽ばたいて充電
突出した峰を掠めよう
高みを極めて瞬きたい

黒い欲望体内ブロック
積み重ねた距離を測ろうとしても実体との悶々

夜空に燦然と輝く星の力量 
我が瞬きの遠さに悶々
短い一夜一晩にふわりと光跡の乱舞

蛍は体内ブロックを打破して賢者へ自由度の舞




あおあお広場

2019-05-03 11:40:47 | 望郷クリームソーダ

あおあお広場

坂道をゆっくり下ると
ドンドン田園は広がっていくのに
そこに至ろうとすれば青く霞む山々になってしまうような

坂道を降りきると同じ目線であたふた
空気 ふうふう吹きつけたこそばさの感触で広場は幻へひろがりそう

それはときめいた場所
それは透明な緑の伸び代なのに
田園の片隅どころか
田園の至る所にあったはずなのに
田んぼ真ん中に取り残された廃校にブランコで固まったまま

ピクニック公園で敷いた淡いナフキンは徐々に縮まり
敷き詰めたい青々したナフキンは重たすぎて包み混まれてしまう

ふわふわな自分の袋から
ときめきを呼び覚ました時
透明感を取り戻した肉体は山々にあおあお広場
はっきりとらえた