望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

無辺に雪景色

2021-12-31 14:13:12 | ビジリアン慣性

無辺に雪景色


ギスギスした四角い空間

氷柱を溶かす動体視力は性別を儚む
掘り下げるほど自己を苛み
覗かせる花弁一枚の刹那
霜降るチェーン切れ自転車を押して気長
糸切れた凧を引き寄せて愛だと熟思


白雪を秘めてさざ波を介さない堅牢度
坦懐を雪に纏う素顔は女

閉鎖された頬 艶やかに潤しく
女坂を廻って幾太の蕾は雪空


存念を貯蔵する頑な蕾

辛苦は桃色でポッと白梅

虚心であるように夢遊

前のめりに魂はくねった









ロン毛エレジー

2021-12-14 23:01:01 | ビジリアン慣性

ロン毛エレジー

天秤に掛けられたロン毛
うすい髪を天骨より束ねる
むさ苦しい居心地は快適
岩ナイフに転んだ居心地
辟易むしゃくしゃだ
赤銅に焼けた強情は模造
紅葉を胸中に旅愁へブラウン
焦げ付くロン毛を払わない
焼き印を捺され痛恨の極み
雄叫びはむちゃくちゃだ

積雪の冷たさを頭で感じる
冬をまとう薄さは極まった
枝打ちされた赤色エレジー
むさ苦しい鋼だ





母心緒

2021-11-30 21:01:25 | ビジリアン慣性


母心緒
飾り棚にフォートフレーム
冬曇りを拒否するように白
35枚目に娘は
フランス人形
一緒に歩いた夫は70枚目に年下

モビール硝子棒は乾燥した音をたてカランカラン 
額は追憶を硝子棒に下した
大気の切れ味に過去へ捻れない老境はカランカラン 
上目で頷き夕暮れを腹でとらえる

90枚に達した厚みは曇りガラス
時のベッドにしなやかな白髪はめぐる
91枚目の硝子板は万華鏡

















昼月に寝る

2021-11-04 23:42:53 | ビジリアン慣性

昼月よに寝る

特殊に遥けき天上

七色すうっと光り傷つき背もたれに入る

切れ切れ衣を漂白する手はスイート

ドーランの下に
片寄って安堵

刺激を放つ香水群を下に伏し目がち春けき人影

ふてぶてしい土足を詠んでスイートに背もたれたい

切れ切れる絹雲をアオムシ
天空ブルーにすうっと入る

春けき位を背もたれと すうっと煙で下に下
水粒に通じる営みは地面に霜柱

羨望は単純な憂さ晴らし 蒼い貴い空に昼間月よか反転反射
七色内に点々六色を納得
夕闇に暮らしは昼月よ

地べたに点々と
六色
春けき遥かに点々七色
蒼い青さに照らされる昼月 
すじ雲を枕に寝ても覚めても昼月よ
上弦下弦も美的反比例
あぁあぁ淋しさを寝よう






影線路

2021-10-26 12:40:11 | ビジリアン慣性

影線路

ガタンゴトン 風になる
山奥に影は走って揺らぐ
心意気も絶え絶えた
老夫婦は根を刈りとる
精神衛生を保温する鍵
我が子は峠越えを拒否
茅葺き家屋に売り看板
昨日まで山に抱かれた一人
猟犬は檻の中に垂れ流し
猫は杉林の元で山猫
ガタンゴトン 杉林へ走る
限界をあっさり通過した
杉の葉裏側より緑の深淵へ
寂寥を満載して影列車
影トンネル封印へ加速

開錠する鍵は子子孫孫
奥山の暮らしは影列車
五十年先にどうあろうか
都会暮らし心理は荒れ地
無人を切開してまみれる
雪隠から躊躇なく肥料
さらけ出せるもの緑光
山暮らしは捨て去る心理
限界を超越する走り
堂々と赤々と光明へ