望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

母心緒

2021-11-30 21:01:25 | ビジリアン慣性


母心緒
飾り棚にフォートフレーム
冬曇りを拒否するように白
35枚目に娘は
フランス人形
一緒に歩いた夫は70枚目に年下

モビール硝子棒は乾燥した音をたてカランカラン 
額は追憶を硝子棒に下した
大気の切れ味に過去へ捻れない老境はカランカラン 
上目で頷き夕暮れを腹でとらえる

90枚に達した厚みは曇りガラス
時のベッドにしなやかな白髪はめぐる
91枚目の硝子板は万華鏡


















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