Nonsection Radical

撮影と本の空間

トヨタの選択

2009年07月02日 | Weblog
某月某日
トヨタが富士スピードウェイでのF1開催から撤退するそうだ。
世界一だったGMからトップの座を奪い返すべく生産台数至上主義で突っ走ってきたトヨタだが、GMがこけたが、設備過剰でトヨタもこけて、さまざまな経費を切り詰める事になった。
宣伝費も大きくカットし、多大な費用がかかるF1も出場こそするが、旦那であるF1開催までは身が持たなくなって撤退となった。

もちろんF1は開催しないが、F1とともにアメリカなどのレースには積極的にこれからも出場していくのだろう。
トヨタらしい商売のしかたである。
でも、これはちょっとトヨタの信頼が先々揺らぐ事になりはしないかと思うのだ。
信頼とは会社の信頼である。
クルマの信頼は、過酷なコストと環境にもかかわらず日本人らしい(日系人らしい?)勤勉性で品質を保つ努力を続ける下請け企業のおかげで、これからも(多少の品質低下はあるだろうが)保たれるであろう。
自動車メーカーなんかアッセンブリ屋だからね。

しかし会社の信頼は品質以外にも様々な要素がある。
その一つが旦那である。
儲かっている企業が責任としてお金を持つ場面というのは必要な事だろう。
それがF1の場合は開催する事だろう。
富士スピードウェイを全面改装し、F1のレースの出来るサーキットにしたまでは良かったが、その先まで思いが届かず、初回は観客や地元に不評を買うしくじりをした。
そこでトヨタは自らの「幼さ」を学び、旦那としてオトナの振る舞いをする勉強代を払うべきなのだった。
本田宗一郎の志などすっかりなくなり、今は普通の会社になったホンダだが、そうなる前にオトナの教育を受けるチャンスがあったようで、企業的責任というものをちょっとはわかっているような気もしなくもない。(苦笑)
出場はしなくても旦那の地位は保とうとするのだ。

で、トヨタの信頼の話だが、実質世界一の自動車メーカーになったにも関わらず、生活が苦しいからと旦那の地位からサッサと降り、そのくせ参加だけはするという「こすい」ことをすることに、他の自動車メーカーは心中どのように感じるかという事だ。
同様にユーザーも(特に欧米の)敏感に感じるのではないかと思うのだ。
これが輸出大国(実際は国内より海外生産の台数が多いのだが)の旦那の振る舞いであると思われるのは、致命的なしくじりになるのではないか。
儲けるだけでなく遊びのお手伝いもするのが成功企業のいいわけだと思う。
そこのところがわかっているのかなぁ。
トヨタが相手にしているのは赤子の日本人ではなく、オトナの外国人なんだけどなあ。
コメント (2)
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