自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

久々のいしいしんじ『雪屋のロッスさん』

2011-02-22 07:56:24 | ファンタジー
世の中にはいろんな仕事があります。


何年か前に、村上龍さんが『13歳のハローワーク』と言う本を出版して、ベストセラーになりました。


「自分が何になりたいのか?」と言う、自分への問いかけに、ボクが子どもの頃はとてもシンプルな答えしかありませんでした。


野球選手、パイロット、社長さん、総理大臣・・・・・



女の子は「お嫁さん」



でも、現代は、そのヒーロー像を投影するモデルが見当たらなくて、いや返って多すぎて職業選びに困ってしまいます。



ボクの下の娘がいわゆる「シューカツ」中で、今いろんな会社へアプローチしているようです。


話を聞くと、その職種の多さに驚きます。



就職難ですから、彼女なりに「サバイバル」状態なのでしょう。


心に秘する仕事があるようですが、あらゆる可能性にチャレンジしています。



夢のある仕事がいい、そう思ってはいるものの目の前の現実にそんなことは言ってはいられない・・・・。


それが、今の大学3年生。




『雪屋のロッスさん』いしいしんじ




この作家の頭の中はどうなっているんだろう。


『トリツカレ男』以来、大好きな作家の一人ですが、読むたびに、不思議な感覚になります。



この『雪屋のロッスさん』の中には、31種類の仕事にまつわる短編。




ところがその仕事が、タイトルの「雪屋」さんだったり、「なぞのタクシー運転手ヤリ・ヘンムレン」、「不思議な似顔絵描きのローばあさん」、「ポリバケツの青木青兵」、「旧街道のトマー」・・・・・



次々と続く、不思議な職業と登場人物に思わずニンマリしてしまいます。



最後に収められている「あとがきにかえて 編集者の関口君」に至っては、あとがきなのかと思いきや、ふしぎなふしぎな物語。


最近では、本屋さんの売り上げが猛スピードで右肩下がりと言う話を聞きましたが、やはりボクはページをめくる作業のある紙の本が好きです。



そんな紙の本へのオマージュのようなこの最後の作品がボクは好きでした。


世の中の仕事も、こんなイマジネーションによって、次々と生み出されていけば、不況なんてどこ吹く風。

誰もが好きな仕事を始められる・・・と思うのですが・・・。


でも、初めは誰かが、ふとやってみたいって思った事・・・それが仕事になったんですよね。



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