幼い頃、ボクは母親と二人暮らしだった。 1-2歳の頃のボクは、指をしゃぶるのがダイスキだった。特に右手の親指。指にタコができるほどしゃぶってた。心配した母親は、その指に絆創膏を巻きつける。それでも他の指が残っているからまたしゃぶる。そして遂に全ての指に絆創膏が巻きつけられてしまった。
右手にはいつもすこしざらざらしたタオル。そう、チャーリーブラウンに登場するライナースの毛布とおんなじ。ついにはそのタオルさえ取り上げられてしまったボクは、床においてあったゾーキンを見つけ・・・・しゃぶっていた。
*ちょっとお勉強
口唇期・・・・フロイト大先生によると性格形成の初期に、おっぱいを吸ったりかんだりすることで満足を得る時期がある。この満足度が高ければ楽天的、もしくは依存的性格傾向。満足度が低いと、抑うつ的、猜疑心が強い性格傾向となる。この段階で「受容力」「拒絶する力」などの性格が発達する。
うーん、自分としてはどっちもありそうで、どちらにせよ、この口唇刺激に固着してしまっている「口唇期的性格」が自分の中にあることがみえている。いまだに、ふと、唇を触っている自分に気づくことがある。
とにかくその頃は、指をしゃぶることはいけない(叱られる)ことなので、できるだけ母親の目を盗みながら指をしゃぶっていた。
ある日、母親が買い物に行くという。ボクは、家で留守番をすると言い張った。まだ2歳くらいの頃だ。母親は本当に良いのかと、何度も念を押してから出かけていった。ボクは、家に一人残り、ゆっくりと思う存分に指をしゃぶりたかった。そして、寝っころがりながら、しゃぶった―・・・・・
突然、猛烈な不安に襲われた。たった一人の母親が、いつもそばにいる母親がいない!という恐ろしさ。指しゃぶりどころじゃなくなった。
泣き虫だったボクは、猛然と玄関に走り、「オカ―シャ――ンッ!!」と泣き叫んでいた。もちろん母親は出かけた後。ボクは外に飛び出した。誰もいない路地を泣きながら「オカ―シャ――ンッ!!」を連発しながら走った。ボクの泣き声に驚いた、隣の家のニワトリがボク以上にけたたましく鳴き叫んでいた。その声がまたボクにはとてつもなく怖かった。
靴も履かずに走った雨上がりの路地に、あつでの靴下がもぐりこんでいく。あの、どろっとした、グニュッとした感触は今でも忘れない。
この「どろっとした」「ぬめっとした」感触は、依存状態の性格にはなんともまずい。のみ込まれていく・・・・ますます恐怖に襲われ、泣き叫び、ついには、そのおそろしいニワトリのいる隣の家に救出されてしまった・・・・・
もちろんその後の記憶は、まったく飛んでしまっている。
*途中だけどお知らせ
毎年「田んぼで泥んこ大運動会」をやっている。あのときに置き去りにした自分を取り戻すには最高のお遊びです。今年でもう5回目。ゴールデンウィークの5月4日。詳細は子ども未来研究所まで
03-3779-1236
前置きが長くなってしまった。
子どもは誰もみな、はじめは「母子一体状態」にいる。そして2歳ころになると「母子分離状態」に移行する。この母子一体から母子分離に移行する際に、隙間が生じる。この「スキマ」が、子どもにとってはものすごい不安なんです。そして子どもはその隙間を埋めるために、お人形遊び(擬人化)をしたり、英雄ごっこをする。たくさんのイマジネーションを使うのです。
このイマジネーションが、子どもの心を育てていきます。
安定した母子一体状態から不安定な冒険のたびへと出かけていく(母子分離)。子どもは行動の範囲と同時にたくさんのイメージを広げながら成長していくのです。
最近はこのスキマをうまく埋めていく作業ができない子どもが多くなっています。イメージの力を使わなくなってしまった子どもたちです。いや、イメージの力を使う前に、ゲームやテレビによって一方的に「与えられてしまう」のです。
その点、絵本や、ファンタジーは、イマジネーションを使わせてくれます。子どもはもちろん、最近脳を使わなくなった「あなた」。
ファンタジーによる、イマジネーションは、若者には豊富なアイディアを、そしてオジサンたちには、問題解決に向き合うための意欲や情熱を取り戻してくれるのです。
あのぬかるみの路地にはたくさんの思い出があります。知らない子どもを、いとこと一緒に追い掛け回していじめたり、近所のお姉さんに、路地の入り口に咲いていたツツジの蜜をいっぱい吸わせてもらったり・・・・。
『ホビットの冒険』の主人公ビルボ・バギンスは、なんと50歳から冒険の旅を始めました。ちなみにロード・オブ・ザ・リングの主人公は、ビルボが養子にしたフロド・バギンスが50歳になってから始まった物語なんです。映画ではホビットの小人ですから青年に見えますが。オヤジには、ファンタジーが大切なんですよ。新しい冒険によって、もう一度「自分作り」をしていく大切な時期なんです。
次回は、少し『ホビットの冒険』の内容に触れながら、「指輪の秘密」や「龍退治」そして、宝の発見などが、心理的成長において、なにを意味しているのかをお伝えしようと思ってます。
お楽しみに!
最後にもう一つ
私の大好きな「ものがたり」から学ぶクラスが始まります。今回で3回目。毎年内容が充実しています。
物語を読み解くうえで、個人的な観点からと、普遍的な観点の二つの世界を見ていくことが大切です。このクラスでは、人間として共通している普遍性を見つけながら「真の自立」についてヒントを見つけ出します。
レオレオーニ、グリム、アンデルセン、エンデ、ギリシャ神話・・・・・ぞくぞくするほどにおもしろい物語を読みながら、自立のための隠された秘密を解き明かしていきます。
いわば私の、集大成のクラス。お待ちしています。
*絵本・おとぎ話から学ぶ女性の自立のためのセラピー講座
右手にはいつもすこしざらざらしたタオル。そう、チャーリーブラウンに登場するライナースの毛布とおんなじ。ついにはそのタオルさえ取り上げられてしまったボクは、床においてあったゾーキンを見つけ・・・・しゃぶっていた。
*ちょっとお勉強
口唇期・・・・フロイト大先生によると性格形成の初期に、おっぱいを吸ったりかんだりすることで満足を得る時期がある。この満足度が高ければ楽天的、もしくは依存的性格傾向。満足度が低いと、抑うつ的、猜疑心が強い性格傾向となる。この段階で「受容力」「拒絶する力」などの性格が発達する。
うーん、自分としてはどっちもありそうで、どちらにせよ、この口唇刺激に固着してしまっている「口唇期的性格」が自分の中にあることがみえている。いまだに、ふと、唇を触っている自分に気づくことがある。
とにかくその頃は、指をしゃぶることはいけない(叱られる)ことなので、できるだけ母親の目を盗みながら指をしゃぶっていた。
ある日、母親が買い物に行くという。ボクは、家で留守番をすると言い張った。まだ2歳くらいの頃だ。母親は本当に良いのかと、何度も念を押してから出かけていった。ボクは、家に一人残り、ゆっくりと思う存分に指をしゃぶりたかった。そして、寝っころがりながら、しゃぶった―・・・・・
突然、猛烈な不安に襲われた。たった一人の母親が、いつもそばにいる母親がいない!という恐ろしさ。指しゃぶりどころじゃなくなった。
泣き虫だったボクは、猛然と玄関に走り、「オカ―シャ――ンッ!!」と泣き叫んでいた。もちろん母親は出かけた後。ボクは外に飛び出した。誰もいない路地を泣きながら「オカ―シャ――ンッ!!」を連発しながら走った。ボクの泣き声に驚いた、隣の家のニワトリがボク以上にけたたましく鳴き叫んでいた。その声がまたボクにはとてつもなく怖かった。
靴も履かずに走った雨上がりの路地に、あつでの靴下がもぐりこんでいく。あの、どろっとした、グニュッとした感触は今でも忘れない。
この「どろっとした」「ぬめっとした」感触は、依存状態の性格にはなんともまずい。のみ込まれていく・・・・ますます恐怖に襲われ、泣き叫び、ついには、そのおそろしいニワトリのいる隣の家に救出されてしまった・・・・・
もちろんその後の記憶は、まったく飛んでしまっている。
*途中だけどお知らせ
毎年「田んぼで泥んこ大運動会」をやっている。あのときに置き去りにした自分を取り戻すには最高のお遊びです。今年でもう5回目。ゴールデンウィークの5月4日。詳細は子ども未来研究所まで
03-3779-1236
前置きが長くなってしまった。
子どもは誰もみな、はじめは「母子一体状態」にいる。そして2歳ころになると「母子分離状態」に移行する。この母子一体から母子分離に移行する際に、隙間が生じる。この「スキマ」が、子どもにとってはものすごい不安なんです。そして子どもはその隙間を埋めるために、お人形遊び(擬人化)をしたり、英雄ごっこをする。たくさんのイマジネーションを使うのです。
このイマジネーションが、子どもの心を育てていきます。
安定した母子一体状態から不安定な冒険のたびへと出かけていく(母子分離)。子どもは行動の範囲と同時にたくさんのイメージを広げながら成長していくのです。
最近はこのスキマをうまく埋めていく作業ができない子どもが多くなっています。イメージの力を使わなくなってしまった子どもたちです。いや、イメージの力を使う前に、ゲームやテレビによって一方的に「与えられてしまう」のです。
その点、絵本や、ファンタジーは、イマジネーションを使わせてくれます。子どもはもちろん、最近脳を使わなくなった「あなた」。
ファンタジーによる、イマジネーションは、若者には豊富なアイディアを、そしてオジサンたちには、問題解決に向き合うための意欲や情熱を取り戻してくれるのです。
あのぬかるみの路地にはたくさんの思い出があります。知らない子どもを、いとこと一緒に追い掛け回していじめたり、近所のお姉さんに、路地の入り口に咲いていたツツジの蜜をいっぱい吸わせてもらったり・・・・。
『ホビットの冒険』の主人公ビルボ・バギンスは、なんと50歳から冒険の旅を始めました。ちなみにロード・オブ・ザ・リングの主人公は、ビルボが養子にしたフロド・バギンスが50歳になってから始まった物語なんです。映画ではホビットの小人ですから青年に見えますが。オヤジには、ファンタジーが大切なんですよ。新しい冒険によって、もう一度「自分作り」をしていく大切な時期なんです。
次回は、少し『ホビットの冒険』の内容に触れながら、「指輪の秘密」や「龍退治」そして、宝の発見などが、心理的成長において、なにを意味しているのかをお伝えしようと思ってます。
お楽しみに!
最後にもう一つ
私の大好きな「ものがたり」から学ぶクラスが始まります。今回で3回目。毎年内容が充実しています。
物語を読み解くうえで、個人的な観点からと、普遍的な観点の二つの世界を見ていくことが大切です。このクラスでは、人間として共通している普遍性を見つけながら「真の自立」についてヒントを見つけ出します。
レオレオーニ、グリム、アンデルセン、エンデ、ギリシャ神話・・・・・ぞくぞくするほどにおもしろい物語を読みながら、自立のための隠された秘密を解き明かしていきます。
いわば私の、集大成のクラス。お待ちしています。
*絵本・おとぎ話から学ぶ女性の自立のためのセラピー講座
『横断歩道』という話。
子どもたちが横断歩道の白いトコだけを渡り歩いているんです。「落ちたらしぬぞ~!」みたいに。よくやりましたよね。
そこに通りかかった頑固そうなおじさんが、鼻でフンッと笑って白いトコを踏み外すのです。
すると・・・「うわあああぁぁぁ…」
おじさんは、そのままアスファルトの中に飲み込まれていきました。
ラストシーンは、子どもたちの(あーあ…)といわんばかりの表情。
なんだか おかしい話でした。
長くなりましたが、実は子どもの方が本当に大切なことを知っているんだろうなぁ…なんて思って。
子どもたちは日々、体験しているんですもんねぇ。
ある日の柴崎少年の姿をのぞき見してしまったような。笑
次回もたのしみです。
昨夜の夢では、実家の二階の部屋で、泣き疲れてもぬけの殻のようになった私がノートに「空」とひたすら書き続けていました。
そのノートを父親が覗き込み、「平気な顔してるけど、一人で二階に行ってたんだね。」と言いました。
置き去りにしてきたもののヒントは、ここにもあるのかな。