珍道中2008初夏編その１

珍道中初夏編2008その１

3月の初旬に、母親が圧迫骨折で入院したせいで、春先に予定していた「珍道中」は無期限延期になってしまいました。が、不撓不屈の母、光子は「負けてらんないよぉ」と、同室のばば達を見据えながら、独り言を言っておりました。
一体なにと勝負していたのかは不明ですが、約50日間の入院の末、無事退院。
もともと、全身関節リュウマチで、骨そそうしょうも進んでいるため、安心はできないのですが、本人はいたって元気。

そして、「いつ行くのぉ？」とさりげなくプレッシャーを与えられ、ついに軽井沢へ。久しぶりの「ばばファンタジー」をアップすることにいたします。

そもそも、ひと月ほどブログの更新をサボっておりました。今週中には・・・と思いながら、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
何度か、ページを開いて、「ナンだよまだ更新してないのかよ」と、お怒りの皆様がいたら、お許しください。

その代わり、今回のブログを楽しんでいただけるように、詳細にご報告をいたします。
意外に、この珍道中のファンの方が多いのです。

「ばば4人とボクの珍道中、あわせて365歳。」

出演
「おみっつぁん」　
ボクの母親。82歳。体重28キロにもかかわらず一人で生き抜いてきたガッツは誰にも負けない。

「ねえさん（おばさん）」
おみっつぁんの、兄嫁。83歳。脳溢血を見事に克服し、今も現役で自営業の経理。そろばん使いのプロ。

「よっ子ちゃん」
おみっつぁんのすぐ下の妹。78歳。天然ボケが最高。迷言集を作りたいほど。一人ぼっちが大嫌いで、夕方5時半からの「ラジオのプロ野球放送」が唯一の楽しみ。ちょっと耳が遠い。

「やえちゃん」
おみっつぁんの末の妹。やたら元気でうるさい68歳。現役の、プロのビル清掃人。年に1回は必ず海外旅行に行く。今月も韓国帰り。「からだじゅうがキムチ臭くってさぁ」と、怒ってるんだか楽しんでいるんだか不明。声がでかい。

そして、ツアーガイドはボク。54歳。ばばたちの前では、いつでも小学生のかずちゃんのまま。

ツアー初日、おみっつぁんを迎えに行く。やえちゃんが「年よりは『行くよぉ』って言ってから30分かかんだから」と言っているとおり、たっぷり30分待ち。

9:00出発の予定が・・・・。前の日まで、仕事に追われて全速力で走っていたボクは、急ブレーキをかけなければ波長を合わせられず、朝からイライラ。
つくづく、高齢者施設で働く皆さんの忍耐と献身に頭が下がります。

そもそも、成人のボクたちが過ごしている時間の流れは、常に右肩上がり。
何かを目指し、どこかにたどり着くという、基本的な流れがあるのですが、おみっつぁんのように引退している高齢者の過ごす時間は、いつでも「今」。

おみっつぁんの過ごしている世界に、入り込むことは、ボクにとってはまさに「ファンタジー」なのです。

車に乗せて、イザ他の姉妹が集合している新宿へ。
ところが、6月から後部座席もシートベルト。
「しめつけられて痛いよぉ」
「息苦しいよぉ」
「はずそうか？」
「いや、いい、我慢するから」と、おみっつぁんの文句たらたらを、必死になだめながら、この交通法規改正に憤懣やるかたなし。

そして、全員そろって、いよいよ出発。

さぁ、きょうは何から始まるか？
おせんべか？はたまたチョコか？
でも、今回は驚きの展開が・・・。

勢ぞろいして、車が動き出した途端に、ハンドバッグをごそごそやりだすよっ子ちゃん。
「ガム食べるぅ？」
来た来た、始まった。
「ちょーだーい」
「わたしもぉ」
おいおい入れ歯によくないんじゃないのぉ？という心配をよそに、「このガムざらざらしているのね、でもおいしいぃ」
「かずちゃんはぁ？」
「あ、いらない」
「遠慮しないで」
「いやいらないから」
「ほしくなったら言ってねぇ」
どうしても食べさせたいみたい。

気を抜いたその瞬間に、助手席に座っていたやえちゃんが、「ぬか漬け、たべるぅ？」
いきなり、ラップに包んだきゅうりのぬか漬けが、運転しているボクの目の前に差し出されました。
思わず「いただきます」と手を伸ばした途端に、後部座席から「あたしも欲しい」と大合唱。ガムどうすんだよ・・・。

パリポリ食べ終わって、おばさんが「ごはん欲しくなっちゃうわよね」といった途端に、やえちゃんからにぎりめしが差し出され大爆笑。
「もっと、早く出してよ！」
「そんなこといったって、言わなきゃわかんないじゃない」
・・・たしかにそうだけど・・・。

こんな調子で、軽井沢まで延々と、食べ、話し、笑い続けたのです。

「あたしかき氷食べるんだ」と、やえちゃん。なにやら、テレビで天然氷のかき氷が紹介されていたらしい。「あたまがさぁ、キーンてなんないんだってぇ」
「やだぁ、こおり？寒いじゃない」とよっこちゃん。
「何言ってんのよ、もう6月だよ」とやえちゃん。
「えーっ？あたし、まだ3月だと思ってたぁ」
「やだねぇ、あんたは天然氷じゃなくて、天然ボケ。ギャハハハハ」

上里のサービスエリアで小休憩。
お昼はおそば食べようね。といいながら、車の中で散々お菓子を食べ続けていたにもかかわらず、やえちゃんがいないと思ったら、遠くからソフトクリームを片手に登場。

すかざずよっ子ちゃんが「あたし、このカワが好きなのよねぇ」
ん？カワ？・・・・うーん、かわかぁ。
4人で、アイスクリームよりも「カワ」を奪い合いながら、完食。

書き出したら、とても収まらない。あぁ、まだ軽井沢につかない。

とりあえずきょうはここまで。