初期化する

ノーベル賞授賞式に臨む、山中さんの様子が報道されている。


ノーベル賞と言うと、日本で9番目に受賞した田中耕一さんを思い出す。


技術者であり、あの朴訥としたしゃべりと風貌が強く記憶に残っている。


山中さんは比較してもしょうがないけどぐっとスマートな印象。


彼の研究したiPS細胞。


専門家ではないので、ボクが理解しているのは、「成熟した細胞を初期化できる」技術だという事。


受精卵は、それが体のどの部分の細胞にもなれる可能性を持っているらしい。


なんとなくそれは理解できる。


ところが体細胞になってからも、つまりたとえば耳になった細胞も、ある遺伝子を加えることで「初期化」されてどんな細胞にも生まれ変わることができるってこと。



なんだかすごい。


これって、ボクたちは、いつだって生まれ変わることができるっていう事でしょ。


細胞ではないけれど、これが意識や心理にも影響するのなら、いつだって自己認識を変えることができるっていうこと。


自分に対する古い価値観や、物事に対する向き合い方の癖、過去への囚われ、疑いや不信、後悔や絶望・・・・こういったあらゆることを、瞬時に切り替えることができたのなら、世の中は一変する。


誰だって自分の人生を初期化したいって思ったこと、一度ぐらいはあるんじゃないでしょうか。


ん？でも待てよ。


喜びや楽しさまでもが一変してしまうと、昔を思い出してニッコリできなくなってしまうかもしれない。


それは困る。


病気になった細胞だけを変化させるように、自分にとって否定的な意識や心理だけを取り出して変えられる技術。


これだったらきっとノーベル賞が取れる。