自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

トンチンカンン夫婦の詩 まど・みちお

2014-06-07 08:00:58 | ひとり言
昨日に引き続いて、まどさんの『百歳日記』について。


読み進めていると、文章自体が、一つの詩のよう。


まどさんの見える世界は、それが百歳だからなのか、それとも、もともと持っている見方がそうなのか。


ともかく、あたたかでやさしいのである。


奥様の名前は「寿美」さん。


お互いを「満点」と言い合う中なのだそうだ。


ただ年を重ね、どうやら「あるときから、困ったこと、トンチンカンなことが増えてきました。」のだそうだ。


それで、この詩である。


*******

トンチナカン夫婦


満91歳のボケじじいの私と


満84歳のボケばばあの女房とはこの頃


毎日競争でトンチンカンをやり合っている


私が片足に2枚かさねてはいたまま


もう片足の靴下が見つからないと騒ぐと


彼女は米も入れてない炊飯器に


スイッチ入れてごはんですようと私をよぶ


おかげでさくばくたる老夫婦の暮らしに


笑いはたえずこれぞ天の恵みと


図にのって二人ははしゃぎ


明日はまたどんな珍しいトンチンカンを


お恵みいただけるかと胸ふくらませている


厚かましくも天まで仰ぎ見て・・・・


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本当は結構深刻なこともあるだろうに、こんな視線でお互いを見つめられるのが素敵だ。


そういえば、最近ボクもずいぶんとトンチンカンが増えているような気がする。


周りの人たちのあたたかな視線を、感じるのは、歳を取ったからなのか、それともただの気のせいだろうか。


トンチンカン社長はいくらなんでもマズイですからね。

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