自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

のんびりと読む本『峠のうどん物語』

2014-11-27 04:35:38 | おもしろかった本
子ども未来のスタッフののりちゃんは、時折面白い本を貸してくれる。


先日デスクに、


「とってもいい本でしたので、オススメします。おばあちゃんが 人生のキビを中学生の孫に おしえてくれるのが いいんです」


っていうメモと一緒に、本を置いてくれていました。


昨日は丸一日ものすごい雨と風でした。


最近お休みをしていないのもあって、ちょうどいいからって家でのんびり過ごすことにしました。


そして、手に取ったのが、この『峠のうどん物語』重松 清


メモにあったように、高校受験を控えた淑子ちゃんの視線で描かれている。


修行を終えて独立した、淑子ちゃんのおじいちゃんが、峠に開店したうどん屋さん。


無口で、頑固なうどん一筋の職人。


そして、おしゃべりで、いろんなことを教えてくれる人情味あふれるおばあちゃん。


特段の事件も起きないし、感動的な終わりがあるわけじゃない、でも、なんだかほっとするお話。


このうどん屋さんの前に、市が葬儀場を建設して以来、お客さんはもっぱら通夜や告別式帰りの人ばかり。


なんとなく湿っぽく笑い声の少ないお店。


だから、死と向き合い、そして生きることに向き合わざるを得ない、静かだけれども、深く考えさせられる。


そんなことはお構いなしに、おじいちゃんはひたすらうどんをこね、天気によってうどんのタレの味を変える。


おじいちゃんは、悲しみに暮れる人たちの心に生きる力を与えるかのように、力強くうどんをこねる。


「場所の持つ磁力に物語をゆだねて、お話を書いてみよう。お店や駅や学校のように、やってくるものを迎えて、見送る。


そんな『場』を主役にしたお話ができないか。


そう考えたのが、すべての始まりだった。」


作者の重松さんは、そんなあとがきを書いている。


「場を作ること」、、これは、ボクたちもとても大事にしていること。


特定の「場」と言うことではなく、誰にとっても安心で安全な場で、この場を通して自分に気づき、人生をスタートしていく。


そんな一人一人にとっての大切な場であることを、いつも大切にしているのです。


この物語は、読んでいるうちに、なんだか自分が自分でいてもいいなって味わわせてくれる、あたたかな、いや、あつあつのうどんみたいなお話です。


だからこそ、のんびりゆったりしている時に、オススメです。





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