草原の四季

椎名夕声の短歌ブログ

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おじさん構文についておじさんより

2025-01-15 09:35:00 | 和歌・短歌

2022年に「おじさん構文に悩まされる」という話で世間が盛り上がった。
さっさと業務の指示でもすればいいのに「元気かなあ。何か困ったことはないかなあ」と言われるのが、若者は嫌なのだそうだ。友達じゃないので元気かどうか聞くな。困ったことは、聞かれなくても遠慮無く言うので、改めて聞かれると返事をするのが煩わしい。

もちろん時代が変わったということだが、昔だって流行の考え方というものはあり、しかし昔の若者の内知性派は、同時代の若者文化に対して批判的な考えは持っていた。
何を言いたいかと言うと、現代の若者には知性派がいなくなって、皆さんマニュアル人間になってしまったんじゃないか、ということ。
あるとき、某企業の担当に「馬鹿」と言う語を含んだメールを送ったら、その上司から返信が来て「再度このようなことがあったら取引をしないし、司法に訴える」と言う。いわゆるカスハラ(カスタマー・ハラスメント)の案件として整理されたようだ。
僕は、これこれこういう訳で担当の受け答えは合理的では無く、そのせいで僕が迷惑している旨を説明すると同時に、感情的な発言について謝罪し、一件落着となった。
先方はカスハラ案件でボールを投げたが、僕は感情案件としてボールを投げ返した訳である。面倒臭い時代になったものだ。マニュアルが間違っているという反省が無い。

それだけ余裕が無い時代になったということだが、昔だって「多くの事件を短時間で処理した検事が出世するんだってよ」という噂話はあった。しかし、そのことを批判することを忘れてはいなかったけどね。

ちなみに、冒頭のおじさん構文に対しては、無視すればいいんですよ。おじさんから見たら、君(若者)は赤ちゃん同然だから、無視して「ほぼ順調です」等業務連絡の言葉を返せばよろしい。

逆に、そのことがおじさんからの愛を受け止めたことになるのです。

 

ところで、上記で「馬鹿」の語が誹謗中傷で使われるケースと、批判の意味で使われるケースとがあることを書いたが「びっこ」の語も身体障害者を意味するケースと、単に状態の形容であるケースとがある。

短歌は1句中の音数に制約があるので、単に状態を形容する意味として「びっこ」の語を使用する。不完全なマニュアルにより「差別語の使用により失格」と言われないか戦々恐々である。

なお、第2句に込めたのは、表現の問題ではなく、物語の問題だということはおことわりしておきます。それは連作を読まないとわからないことですが。

最初の原稿では全く違う形だった作品が、推敲の結果下記のようになったのです。

 

犬ならばびっこジジイになったあと散歩をさせてやれないゆえに(椎名夕声。今回が初出)

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