『花鳥風月』雑記

素朴に質素に優しくいきたいね

仙に学ぶ?

2010年10月03日 | 美術


小生、満72歳になりました。大した病気や事故に遭う事もなく来れたのも丈夫な身体を授けてくれた両親に
感謝しています。浅学非才な故、蟻のように只がむしゃらに働いて来ました、その仕事も終りにしました。

キリギリスの様に浮かれ楽しみもしないのに昨今の不景気や金融不安で凍え死ななければよいのですが、、

今、過去を振り返って見ても小生何時も尊敬できた素晴らしい方々との出会いが得られた事は幸せでした。

一昨日、勤務先だった会社の上司さん達が『卒業祝い』と銘打って一席設けて戴きましたがその場に行く前
出光美術館に立ち寄られるのに同行させて頂きました。  【生誕260年仙-禅とユーモア-】です

 
《指月布袋画賛》                     《○△□》

江戸時代の禅僧『仙』の書画では出光美術館の所蔵が特に多いようで催されるときは時々訪れています
洒落や飄逸豊かな本物の書画に接すると気掛かりだった屈託も僅かな事の様に思えて帰路についてます。

《指・・・》出光コレクションの第1号となった作品(を月様幾つ十三七ツ)禅の悟りの核心を描いているらしい?
《○・・》世界的にも評価が高い難解な作品、何を感じますか?

  
《無事》                          《一日不作一日不食》   《冨莫大於・・・》

《無・・》「事無き」ではなく「無を知る事」だそうです。「知足」にも通じるのかな?

《一日・・・》老僧が毎日農作業しているのを弟子達が不憫に思い道具を隠したら一切食を断ち餓死した。
       仙も弟子達に仏恩への感謝の気持ちと禅修業の厳しさを示した書らしい?

《冨・・・》「冨莫大於知足福莫盛於無禍」 富と言うものは足ることを知るより大いなるものは無く、
      福は禍が無いことよりも盛んなるものは無いのである。
      (分相応の富や福があるだろうがそれを知る事でこの世が素晴らしい。)


《老人六歌仙画賛》

《しわがよる・ほくろが出来る・腰まがる・頭はげる・ひげ白くなる・手は振るえ・足よろつく・歯は抜け
耳きこへず・目は疎くなる・身に添ふ頭巾襟巻き・・・淋しがる・心が曲がる・欲深くなる・気短になる
愚疑になる・出志やばりたがる・世話やきたがる・又しても同じ咄に子を誉める・達者自まんに
人ハいやがる》

誰にも訪れる「老化」でしょうが描かれている老人達は皆おおらかでのびのびとして微笑ましい。

老いることを恐れず逞しく楽しく生きろと心優しい仙からのメッセージでしょう


仕事を卒業した71歳最後の日に観た『仙展』、今後の心構えと方向性を教えられたような、、、
忘れられない記念日でした。

〈仙作品画像は全て出光美術館発行のしおり「仙-禅画に遊ぶ-」より撮影転載しました〉