湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

墓を建てる物語 ①

2013年01月08日 | 詩歌・歳時記

        

父の死後、何年かたって・・・母が突然言い出した。 「今年はお墓を建てるよ」。

父が残した軍人恩給や厚生年金をしっかりと貯めての、その宣言であった。

母の実家の在所のお寺が拓いた、一画の墓地は確保済みであった。長年の母の念願だった。

          死ぬるため母いま生きて冬ざくら

さあ、それからは休みのたびに長浜、彦根の石屋さんを尋ね歩いた。

職人ひとりが細々とやっている店、関西のチェーン店を手広く展開する、儲け主義の会社。

ここへ頼もうと言えるようなお店が見つからない。 ある日、彦根の石屋さんへ。

          稜線の銀に斬らるるみ空かな

見本で展示してある墓石の種類も豊富である。 何よりも基本の「石」から説明してくれて、

日本産、ヨーロッパ産の違いと、それにまつわる値の違い・・・目からうろこでした。

あまつさえ、文字を刻む現場、サンド・ブラストというのですか? 砂を高速で吹き付けて

文字を刻んでいく施設も見せてくださり、数々の施工実績の現場写真、労を問わない

対応に、母と顔を見合わせ決めたのだった。彦根・田中石材店!!

      

石の選定とデザインは母に任せた。 図書館で墓石にまつわる書籍を借りてきて勉強をした。

墓石に刻む文字で、はたと困ってしまったのだ。                       つづく

 

 

 

 

 


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