父の死後、何年かたって・・・母が突然言い出した。 「今年はお墓を建てるよ」。
父が残した軍人恩給や厚生年金をしっかりと貯めての、その宣言であった。
母の実家の在所のお寺が拓いた、一画の墓地は確保済みであった。長年の母の念願だった。
死ぬるため母いま生きて冬ざくら
さあ、それからは休みのたびに長浜、彦根の石屋さんを尋ね歩いた。
職人ひとりが細々とやっている店、関西のチェーン店を手広く展開する、儲け主義の会社。
ここへ頼もうと言えるようなお店が見つからない。 ある日、彦根の石屋さんへ。
稜線の銀に斬らるるみ空かな
見本で展示してある墓石の種類も豊富である。 何よりも基本の「石」から説明してくれて、
日本産、ヨーロッパ産の違いと、それにまつわる値の違い・・・目からうろこでした。
あまつさえ、文字を刻む現場、サンド・ブラストというのですか? 砂を高速で吹き付けて
文字を刻んでいく施設も見せてくださり、数々の施工実績の現場写真、労を問わない
対応に、母と顔を見合わせ決めたのだった。彦根・田中石材店!!
石の選定とデザインは母に任せた。 図書館で墓石にまつわる書籍を借りてきて勉強をした。
墓石に刻む文字で、はたと困ってしまったのだ。 つづく
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