2007.08.09(木)
藤沢周平の故郷「山形県鶴岡市」に「海坂膳」という料理を出す旅館「坂本屋」がある…「うなさか」…美しい響きの「海坂」は,いうまでもなく藤沢周平が,故郷・庄内14万石の城下町をモデルに創作した北国の架空の小藩の名前である…
季節料理旅館,九代目当主の石塚亮さんは,学生時代は教員志望だったが,祖父の急死で急遽料理人になって後を継いだ…「食べ物から庄内が見える」をモットーに意欲的に腕を磨いている…藤沢周平が亡くなった10年前,藤沢小説に書かれた食べ物を「海坂藩の食卓」として再現することを思い立ったという…
日本海ならではの主菜,クチボソガレイの素焼き,青ミズのおひたし,ミョウガと赤蕪の梅酢漬け,鯛の刺身にもずく酢…半円球の豆腐に甘いくずあんをかけた「南禅寺」,エイの干物を水でもどして甘辛く煮込んだ「カラゲ」,マスの吸い物に焼きおにぎり…材料は全て新鮮な地場ものだ…
「この赤蕪がうまいな…わしはこれが好物でな…しかし,よく今頃まであったな」… 「三屋清左衛門残日録」の主人公,元用人の清左衛門が古くからの友人の町奉行,佐伯熊太と連れだってよく訪れる小料理屋の「涌井」…食べ納めの赤蕪が出ると,佐伯はこう言いながら清左衛門の分まで平らげる…
「藤沢小説」に出てくる食べ物は,すべて庄内の人々が現在も食膳にのせている何の変哲もないものが多い…お年寄りにはなつかしいが,若い人には逆に新鮮に感じられる郷土料理です…藤沢さんのファンは団体でなく,たいてい1人か2人…「皆さん,静かに味わって帰られます」…「今後ともここでしか食べられないものを作り出していきたいですね」…と,料理人の石塚さんはいう…
旅館 坂本屋
http://www1.ocn.ne.jp/%7Eunasaka/山形県鶴岡市大字三瀬己91
℡0235-73-2003
海坂膳=昼のみ3,000円,要予約
【本日の体重】 : 90.6kg(ダイエット開始から1年と190日目:-14.1kg)