福井県池田町を3年ぶりにたずねた。この町で注目している点を列挙する。
・環境基本計画を策定する際に、100人委員会を設置し、住民参加を徹底したまちである。1000世帯程度の町だから、総世帯の10分の1が参加したことになる。100人委員会からNPOが設立され、環境関連の通信誌をつくり、町内全戸配布を行っている。環境関連の通信誌が町内全世帯に配布されるという地域は他にないのではないか。
・町内のす . . . 本文を読む
「環境コミュニティ」という概念を提案したい。
まず、コミュニティの定義は多彩であるが、「コミュニティの共通要素として、①地域性、②共同性(相互作用)、③社会的資源、生活環境施設の体系、④共通の行動を生み出す意識体系」等が一致点として確かめられてきた(山崎、2006)。
そして、コミュニティは、安定や秩序の維持、知識・観念・信念等の伝達、ルールや規範の作成と施行、 . . . 本文を読む
飯田市での調査を個人的に始めて、3年目になる。今回は、昨年度実施した地区公民館活動等について、お世話になった方々に報告にいくとともに、竹宵まつりを見学させてもらう目的で訪問した。
報告については、今月中には論文にして投稿するので、ブログでは別の機会に記したい。竹宵まつりのことを書いておく。
竹宵まつりは、もともと市内各地で行われていた地区やNPOの催しを統合したものである。今年で4年目。会場は . . . 本文を読む
荒川区役所の白石さんの案内で、区内を案内してもらった。
荒川区は、近年になって、カーシェアリングや自転車道の整備、コミュニティ・バスなどの環境交通の整備に力を入れている。
もともと都電が走っていて、現在もなお、多くの乗降客がいる。その都電にさらに公共交通を組み合わせることで、環境交通を組み合わせて利用したり、利用場面に応じて使い分けができるようにすることが、荒川区の環境交通戦略であろう。
案 . . . 本文を読む
今年度の飯田市でのインタビュー調査も3回目。そろそろ、研究の結論も見えてきたいところ。今回は、市民共同発電に出資をした鼎地区と千代地区のインタビューを中心とした。鼎地区では、地区で出資を決定した際の当時の所長と市民共同発電で太陽光パネルを設置した保育園の園長・スタッフの方々をおたずねした。市民共同発電のキャラクターである「さんぽちゃん」が園児たちに人気があること、父兄に対しても連絡帳やイベントを通 . . . 本文を読む
昨年度、飯田市において、地球温暖化や太陽光発電の設置に関する住民アンケートを実施した。これを踏まえ、今年は次のような観点で、フィールド調査をするために飯田市に通っている。
1.地区公民館活動等と住民の環境配慮度との関連
昨年度のアンケートの結果、近隣関係が強い層(高齢者層)ほど、つまり結合型社会関係資本が強いほど、環境意識、環境配慮行動の実施度が高いことが明らかになった。
飯田市は、 . . . 本文を読む
写真:ハナニラ
地域づくりにおいては、「主体個々の力」の形成とともに、「主体間の関係の力」の形成が重要である。私が、この「主体間の関係の力」が、「社会関係資本」に相当すると気づいたのは、たかだか2年前である。
この「主体間の関係の力」は、主体の組み合わせから、次のように整理できる。
1.住民同士、住民とセクター
1-1 近隣の住民同士(地縁関係)
1-2 職場・学校やNPO . . . 本文を読む
その1の続き
2.他地域及び国の環境政策に対して
飯田市における住民の意識・行動の分析結果から、普及啓発、情報提供、環境教育のポリシー・ミックスに関して、次のような示唆を得ることができる。
(1)行動意図の形成における対人コミュニケーションの有効性
環境配慮(環境イノベーション)の普及は、マスメディアによる問題意図の形成とローカル・メディア、あるいはインターパーソナルなコミュニケーショ . . . 本文を読む
この連休中は、昨年晩夏に実施した飯田市のアンケート調査の集計・解析をしていた。ようやく報告書をとりまとめることができた。解析データ等は今後、学会に発表していく予定。ここでは、考察の要点を紹介する。
1.飯田市の環境政策への示唆
飯田市で実施した住民アンケート調査は、飯田市がこれまで積み重ねてきた環境施策の成果を、住民の意識・行動の側から捉えるものとなった。今後の飯田市の環境政策に、次のよう . . . 本文を読む
長野県飯田市のことを意識したのは、持続可能な地域づくりの具体像を明らかにするために、事例研究をしていた1990年代半ばのことだろうか。確か、シンポジウムで天竜峡のエコタウンの事業の話を聞いた覚えがある。
その後、国土交通省・環境省の委託調査で、持続可能な地域づくりを計画する指標開発の仕事で、飯田市を訪ねた。環境をテーマにした地域づくりに熱心な飯田市において、循環と共生、参加の観点から、定量的 . . . 本文を読む
2002年から、季刊「環境情報科学」編集委員を務めている。編集委員は、特集テーマの企画、執筆者の選定、依頼等を行うことが仕事だ。
「環境情報科学」の特集は、地球温暖化、化学物質、緑地、環境教育、環境保全行動、環境経済など、多岐に亘る。そうした中、私は、どなたも担当者がいない場合と、地域づくり系のテーマを常に担当してきた。
今回の特集は、私が担当した企画の中では、一番よい企画だと、委員長に言って . . . 本文を読む
写真:ウッドワーク協同組合によるスギ間伐材の家具
上越市を訪ねた。
目的は、ウッドワーク協同組合やNPOかみえちご山里ファン倶楽部の取りまとめ役を担う関原氏に、コーディネイターの秘訣をヒアリングすることだ。
この成果は、2月に実施する山村研修で報告する。ここでは、2つの驚きを記す。
1つは、スギの間伐材を使った家具である。椅子を手にすると実に軽い。軽い。
スギの家具は、トヨタ自動車の . . . 本文を読む
写真:北海道白老の浜辺
北海道の登別にある「フォレスト鉱山」を訪ねた。かつて鉱山で栄えた村の廃校を環境教育施設として利用している。
金銀硫黄等の採掘で栄えた町も、今は4・5戸しか居住者がいない。山間のどんづまりにある廃校。
そうした先入観を持ってたずねると、思いのほかに新しい施設だ。駐車場には車が多い。建物に入ると、若いお母さんと子供たちの賑わい。
この施設の運営を行うのは、NPO法人で . . . 本文を読む
写真:荒神様
山村再生事業の研修テキスト作成のため、岩手県遠野市にヒアリングに行った。ヒアリング対象は、元遠野市役所部長で現在NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークのマネジャー菊池新一さん。
菊池さんが市役所時代に行ってきた仕事は、道の駅の立ち上げ、中心市街地内の大型店の再生、グリーンリーリズム・ワーキングホリデー、農業体験を付加価値とする合宿型自動車学校の誘致等である。どれも、遠野市の活 . . . 本文を読む
写真:大株に育ったクリスマス・ローズ
月曜日の出張中、山崎勝広、ユーリア・エンゲストローム編「ノットワーキング」という本を読んだ。
この本では、ノットワーキング(結び目づくり)とは、「人やリソースをつねに変化させながら結びあわせ、人と人との新たなつながりを創発していくような活動の水平的なリズム」であると説明する。
上記における変動とは、「拡張的学習」を意味する、「拡張的学習は、何よりも学 . . . 本文を読む