EMI’Sーベルギー日記ー

リコーダー奏者EMIのブログ、2005.11.09開設。気ままに綴るブログです。
ただいまブリュッセルにてサバイバル中

スウェーデン放牧場の音楽

2006年03月15日 | 日記

先日大阪音大のセミナーに行きました。
「スウェーデン放牧場の音楽」
スウェーデンのダーナラ地方を拠点に活動する音楽家たちの演奏とダンス。

生の民族音楽に触れました。
スウェーデンは湖が何千もあり、森に囲まれたとても静かな所。
そこに昔から伝承されている放牧の音楽。
自然と音楽が共存しています。

ロックポップに触れました。 
牧場の仕事は女性の役目で、女性が甲高い歌声を使い遠くにいる自分の牛や羊を
呼び寄せるのがロックポップです。
静かな森ですから、ビブラートなどかかっていない透明な歌声は
森を突っ切り牛さんに届くそうです。
1、2時間かけてノシノシ我が家に帰ってくる牛さん。
ゆったりした光景が毎日繰り返されているのでしょう。

隣り村の人にうちの牛さん来てませんか?なども
ロックポップでやり取りします。
それも歌ってみせてくれましたが、
歌なのですが、時折呼び声のようなものもあり
沖縄民謡のようにしゃくるようなこ節もあり、古楽唱法のように
ビブラートはかけません。

静かな所だからこその伝承音楽です。


リコーダーにそっくりなスピーロピーパという笛も聴きました。
形はルネサンスタイプに似ていて、音階が独特でした。
ピアノの音階ではなく、
ドレミファソラシドの音階と
下りの
ドシラソファミレド
で同じ音を通るのに微妙に音階が変わるそうです。
その笛の演奏はなんとも哀愁漂う、深い演奏でした。
彼女の胸には名誉伝承音楽奏者の勲章がついていました。

他には
フィオール(バイオリンに似た楽器)
ニッケルパルパ
(バイオリンに鍵盤が付いているスウェーデン独特の楽器音はバイオリン)
ベーヴェルルール(木製のトランペット 2Mくらいあった。綺麗な音でした)
ヴィヴリラ(ハーディーガーディの一種)
が登場。

彼らの演奏は、本当に無駄がありませんでした。
ホールで演奏する音楽家はやはりパフォーマンスしているところが
あると思います。

でも彼らはそれは必要ありません。
肩から上はまるで演奏している人では無いかのように
動いていません。
体でリズムを大きく取るわけでもなく。
でも細かい躍動感あるリズムが自然と聞こえてくるのです。
音楽が深い所に根付いているのでしょうか。

学生時代、自分の思っている事の3倍表現しないと伝わらないと
言われて来ました。
そうして背伸びして来ましたから
大昔から生きた演奏で繋いできた歴史にはどうしても敵わないです。
とってつけたところでダメなのです。