クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

朴竜文庫 14(永遠のとなり)

2016年03月29日 | 朴竜文庫
ずいぶん前に買ったまま本棚に眠っていた白石一文の「永遠のとなり」を日曜日に読みきりました。氏の作品は初めて読んだのですが、読後、心がシーンと静まりました。

生きる意味を前向きに思索的に問う同作品。とても心に沁みました。

主人公とその幼馴染の年齢設定や作者の年齢、舞台、街、いろいろ。共鳴できた作品でした。

ふるさとって、幼馴染っていいものだな、生きるってしんどいけどダメな自分を許して認めてあげた方が楽になれるんだなって、たまたま最近故郷に帰った私、物語がスッと入ってきました。

いつかまた読み直してみたい一冊でした。

朴竜文庫 13(赤朽葉家の伝説)

2016年03月28日 | 朴竜文庫







女流作家の桜庭 一樹(さくらば かずき、1971年7月26日 - )をご存知でしょうか?

2008年に『私の男』で直木賞を受賞して、確か最近映画化されたように覚えいます。閉鎖的な地域でゆっくりと進行する歪んだ男女の情念を描いた作品は一種おどろおどろしく、読後感はあまり良くありませんでした。

さて、今日紹介したい『赤朽葉家の伝説』は真逆のエンタメで、私が直近10年で読んだ小説でも、ベスト5に入る面白さです。

Wikiの転用ですが、「戦後間もない頃の鳥取県紅緑村、幼かった万葉は「辺境の人」に村に置き去りにされ、村の若い夫婦に引き取られ育てられる事となった。見た目も普通の少し子供と違い、文盲でもあったが、一方で不思議な予言をしたり通常は見えないものが見えたりしたため「千里眼」と呼ばれるようになる。やがて、村の名家「赤朽葉家」の大奥様、赤朽葉タツと出会い赤朽葉家に輿入れするように言われ、「赤朽葉家」三代の物語が始まる。」という触れ込み。

まあ、とにかく読んでみてください。面白さは保証します!

朴竜文庫 12(爪と目)

2016年03月26日 | 朴竜文庫
今日の朴竜文庫は第149回芥川賞受賞作品の藤野可織の「爪と目」です。う~ん、面白いんだけど、芥川賞は純文学ですから、ちょっと難解というかイマイチ盛り上がらないんですよ。
それでも、設定が斬新で人間の奥底に眠る不吉な澱のようなものを見事に描いています。

藤野氏が新しく切り開いた純文学ホラーっていう新しいジャンルです。

フォントがデカくて1ページに20行程度の分量、老眼のオッさんにはありがたいですな。

しかし、芥川賞作品はどれも似たテイストですな。

朴竜文庫 11(ダブル)

2016年03月25日 | 朴竜文庫
「バッド・カンパニー」が結構面白かったので、あれから深町秋生の「ジャックナイフ・ガール 桐崎マヤの疾走」(宝島社)を読んでみて、これもなかなかだったので、ついでに「ダブル」を読んでみたら、これが超面白かったので今日の朴竜文庫はこの濃厚な香港ノワール的な「ダブル」(幻冬舎文庫)をお薦めします。

あらすじの紹介は無粋というもの。どうしてもという方はGoogleで追ってみてください。おっさんボクサーの私としてはやはり戦闘・格闘シーンの描写も魅力のひとつだと思ってます。

400ページ強の作品ですので気合を入れて読まなければなりません。

私の場合、先週の帰省時に本鵠沼から羽田空港までの小田急線→東海道線→京急で読み始め、新千歳国際空港までの飛行機の中で読みふけ、空港から室蘭までのリムジンバスの中で物語に没頭し、実家で親の面倒を看ながら読み切ってしまったところ、極度の眼精疲労と極限の首肩凝りに陥り、その結果、偏頭痛とめまいに襲われ嘔吐、翌日、地元の鍼灸院に駆け込んだ始末。

まあそれくらい私にとっては面白い作品でした。お薦めの一冊です。



朴竜文庫 10(バッドカンパニー)

2016年03月07日 | 朴竜文庫
作者、深町秋生の小説は初めて読みました。
これ、ジョビ君好きなんじゃないかな。

「バッドカンパニー」は所謂、ハードボイルドのカテゴリー、一話約40ページのストーリーが7編からなる小説です。

経歴不詳の美人社長が率いる人材派遣会社の社員は元警官や元自衛隊、元傭兵からなる屈強な野郎共で、ヤクザの壊滅や国際テロリストの捕獲など裏ビジネスを稼業としている会社。

勧善懲悪の躍動感のあるストーリーは素直に楽しいですよ。

作者の深町秋生、2014年に役所広司主演で映画化された「乾き」(映画はなかなか怖かったよ)の原作者なんですな。知らなかった。

さて、「バッドカンパニー」には元自衛隊の主人公、有道の格闘シーンが見事に描かれていて、読み進むに従って、ボクシングだけじゃなく、別の格闘技や重火器の扱い、ナイフなど何か別のモノも学びたくなるのは私だけでしょうかね?

とにかく、ジョビ君やアニキは是非ご一読あれ。

朴竜文庫 9(極卵)

2016年02月22日 | 朴竜文庫
あ、どうも朴竜です。

先週、平積みになっていた「仙川環」の「極卵」を購入。

テンポがありスリリングな内容に一日で読み切ってしまう面白さです。

私、「仙川環」は初めてなんですね。医療ミステリーの第一人者らしいのですが、Wikiによると「早稲田大学教育学部理学科生物学専修卒業後、大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。

生命の仕組みがどのようになっているのかについて興味を持ったことから、細胞やタンパク質など、バイオテクノロジーの研究をしていた。

1993年、日本経済新聞社に入社し、記者として医療技術・介護・科学技術分野の取材を担当。

2002年、同社在籍中に執筆した『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞し、小説家デビュー。

2006年に退社し、以降は執筆業に専念している。医療や科学技術を題材としたミステリ・サスペンスを主に手がけている。2015年、『流転の細胞』が第4回日本医療小説大賞の候補作に選ばれる」と。

あー、なるほどなるほど、ロジカルな構成とそれを裏付ける知識にはこのような背景があったのですな。

作品群を眺めても結構知っているタイトルのものあって、何冊か読んでみたい作家のひとりです。

医療をテーマにしたものは壮大な人間ドラマであった「山崎豊子」の「白い巨塔」が有名ですが、医療をモチーフにしてもこれは全く別の視点で捉えられた良質のエンターテイメントといった佇まいです。

まずはご一読あれ。



朴竜文庫 8(人質の朗読会)

2016年02月21日 | 朴竜文庫
小川洋子さんは私の大好きな作家のひとりです。昔、寺尾聡の主演映画で「博士の愛した数式」がありましたね。ご覧になった方もいらっしゃると思います。でも、映画より原作はもっともっと素晴らしい。今読み直しても全然色褪せないので、今日のお薦め文庫と併せて読んでみてくださいね。

さて、「人質の朗読会」です。
これ、下記写真にある紹介文の通り、中南米の某国に日本からツアーに出かけたグループがゲリラの人質となってしまうんです。ツアー参加者は互いに励まし合い生きる希望を持ち続ける中、ひとりひとり、自分の生きてきた道のりを語り合うんです。幸せ、後悔、家族、仲間のこと。


静謐で祈りにも似た語り口。

絶望の中に光を探し出すようにお話が続いていきます。

これは是非是非読んで頂きたい作品のひとつです。

朴竜文庫 7(円卓 西加奈子)

2016年02月20日 | 朴竜文庫
あ、どうも朴竜です。

今日の朴竜文庫は西加奈子をご紹介しますね。
西加奈子の文庫の裏書と言うか解説には、ほんと良くピース又吉がよく上梓していたんですよ。昔からそうで、ファンだったのは私と一緒ですから、本好きのオヤジとしては芥川賞を取る前から又吉は好ましい存在でした。

でも、解説は下手でしたね。
本好きの芸人の域を出なかったんですよ。


さて、西加奈子のこの「円卓」は昔子供だった僕らに読んでほしい。

子供を持つ親にも読んでほしい。


懐かしく、愛おしさが溢れ出る作品です。

芦田愛菜ちゃんで映画化されましたね。

関西弁の西加奈子

アニキにお勧めですな。

朴竜文庫 6(いなくなった私へ)

2016年02月19日 | 朴竜文庫
先週の水曜日、南北線は麻布十番駅近くの街の本屋さんで待ち合わせ時間を潰していました。

徒然がなるがままに手を伸ばした文庫が「辻堂 ゆめ(つじどうゆめ)」の「いなくなった私へ」でした。

裏表紙のあらすじを読んでみると、主人公が売れっ子女性シンガーソングライターで、ユニークで斬新な設定であることが気に入って、500ページ程の分量に少々気後れしながらも買ってしまいました。

買ってから気が付いたのは「辻堂ゆめ」というペンネーム。

「辻堂ゆめ」は1992年12月生まれ(女性)、会社員、神奈川県藤沢市辻堂出身。藤沢市立明治中学校を卒業。

2011年、神奈川県立湘南高等学校を卒業、藤沢市生涯学習特別貢献表彰を受賞・・・とこりゃあ、応援しなきゃなるまいという気になって読み始めたのです。

ところがところが・・・ 文庫の帯には絶賛の嵐が吹くまくっていてさぞや凄い作品かと思いきや、設定がユニークすぎて辻褄が合わなくなるのを修正しようというのか、そのために紙面が増えに増える、所謂「引っ張り過ぎ」となり、散漫になったところを最後には強引な手法を以て物語を終わらせた感が否めないように感じました。まあ、それはそれでアリなわけではありますが、

本好きのおじさんからすると、途中から薄く薄く気がついてはいたものの、まさか、そんな終わりかはしないよねー?と逆期待しながら読んでいたものを、ありゃまぁ~ やっぱりそうなのね?なんの捻りもないわけね。とがっかりしてしまうのです。

そうです。

「ミステリー」ではなく「メルヘン」または「ファンタジー」として読めば腹も立たないというものでしょうかね。


「ゆめ」は彼女の大学でのサークル(合唱・バンド)での愛称に由来するらしく、作品に出てくる「夢のトビラ」という曲は「夢のトビラは泉の中に」という作品からくるもの。

ギターの弾き語りが趣味ということですから、「いなくなった私へ」の主人公「上条梨乃」は自分自身のことなのかもしれないですね。

まだ24歳のゆめさん、文章、構成、表現、掘り下げ方もまだまだその年齢以上でも以下でもない等身大といった印象で、まさしくこれからの作家なんですね。

朴竜文庫 5(白バイガール)

2016年02月18日 | 朴竜文庫
今日は2016年2月15日に実業之日本社から文庫化されたてのホヤホヤ、佐藤青南の「白バイガール」を紹介します。


舞台は神奈川県警の白バイ舞台、主人公は新人の女性白バイ隊員「本田木乃実」です。

先日紹介の「消防女子!!高柳蘭の誕生」と同じ横浜を中心に活躍するエンターテイメントです。

それにしても、作者の佐藤青南の舞台設定はどの小説も巧妙で冷静に計算されているなと感心してしまいます。

それは警察モノを行動心理学のアングルでスポットを当てた「サイレント・ボイス」シリーズや「消防女子」シリーズなど、ネタにこと欠かないエリアに着目していること。

これ即ち「シリーズ化」でバッチリ印税を稼ぐ戦略。

また「高柳蘭」と「本田木乃実」は同じ管轄で勤めているために進行が同時であり、小説を超えて「消防女子」の「白バイガール」への友情出演があったりと、作品がクロスオーバーしているようで読者にはたまりません。


佐藤青南はもともとミュージシャンを目指していた方。

音楽と同じように文章にリズムがあります。

「白バイガール」はしっかりとしたテーマとモチーフに基づいて構成された楽曲のようで、8ビートのリズムに乗って、イントロ→ブリッジ→サビ→大サビ→エンディングと流れている作品だと感じています。登場人物の軽妙な掛け合いも楽しい作品です。

ストレス解消に必携かなあ。

朴竜文庫 4(俠飯1・2)

2016年02月17日 | 朴竜文庫
今の僕達の身体は今まで食べてきたもので作られています。

そして同じようにこれから食べるものによって将来の肉体は作られていきます。

ですから食べ物はとても大事ですね。でも、ただ食べればいいというものじゃありません。だって人間は味覚や嗅覚、視覚や触覚を総動員して食事をとるのですから。

すなわち、以下に工夫して美味しく食事をするかということが大切です。

そしてどのように食事をするかも大切です。

仲間や家族と明るく楽しく語らいながらなのか、ある時はひとりでサクッといくのかとか、結局、食はその人その人の生きてきた軌跡であり、人格や心や思考の在り方の輪郭を描く大切なファクターだと思うのです。

この「侠飯1&2」は軽妙なタッチなエンターテイメントですが、食に対する考え方を再認識させてくれる作品だと感じています。

私は今53歳です。83歳まで生きるとしてあと30年しかありません。

1日3食を30年続けると、死ぬまでに摂る食事の回数は32,850回です。

この数字が多い・少ないは人によって感じ方が違うかもしれませんが、歳を取ってくると段々と食べる量も回数も減っていくものですから、一回一回の食事を感謝しつつ楽しく美味しく頂いて、心とも体の健康を維持していきたいですよね。

朴竜文庫 3(消防女子 ‼︎女性消防士 高柳蘭の誕生)

2016年02月15日 | 朴竜文庫
私の大好きな作家のひとり「佐藤青南」は熊本大学法学部に入学するも途中で除籍。その後、上京してミュージシャン活動をするがついていけず、2009年、第4回ポプラ社が主催する長編小説を対象とした公募の新人文学賞『ポプラ社小説大賞』で最終選考に残るも落選。2010年、『ある少女にまつわる殺人の告白』で 第9回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞を受賞し、同コンテスト5度目の応募で念願の作家デビューを果たすといった変わり種。


「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズも超面白いですが、今日の朴竜文庫からは「消防女子!!女性消防士・高柳蘭の誕生」(2012年6月 宝島社 / 2013年6月 宝島社文庫)がお薦めです。

「警察小説」というジャンルは既に確立された感がありますが、「消防小説」とカテゴリーは初めてのような気がします。

私がこの文庫が好きな理由は①舞台が横浜でありイメージしやすいこと、②展開がスピーディで読みやすいこと、③高柳蘭を含めキャラクターが魅力的なこと。

まだ読んでませんが、続編「灰と話す男 消防女子!!高柳蘭の奮闘」(2013年10月 宝島社)も早く読んでみたい作品です。

朴竜文庫 2(眉山)

2016年02月10日 | 朴竜文庫
本日の朴竜文庫からのお薦めは幻冬舎文庫 2007年4月9日刊行された、さだまさしの「眉山」です。

この小説は2007年に犬童一心監督、松嶋菜々子主演で映画化、また同年に舞台化もされ、2008年には常盤貴子主演でテレビドラマ化されました。

さらに2008年には石田ゆり子主演、2009年には黒谷友香主演で舞台化もされているくらい優れた作品です。

といっても、小説を読んでから映画を観ると「あ~やっぱり小説の方が500倍くらい素晴らしい!」という感想の友人が多いのです。

あらすじはWikiを転用させて頂くと

「ふるさとの徳島県を離れて都会に出ている主人公・河野咲子は、母・河野龍子の入院先である病院から知らせを受け久々に帰郷した。

医師からあと数ヶ月の命と言われ母を看取ろうと決心した矢先、咲子は母が「献体」を申し込んでいたことを知らされる。

どうして献体なのかと疑問を持った咲子はある人物から呼び出され、母からの「人生が全部詰まった箱」を渡される。
やがて咲子は会ったことのない父の存在と、母の想いに辿り着く。」

ということなんですが、私が感動するのは、人と人との機微を繊細に優しく儚く描く切るに必要なさだまさしの豊饒なる語彙力に圧倒されたことでしょうか。

紡ぎだす言葉や文章は雪の結晶のように完璧で凝縮され美しいのです。

文庫本はわずか200ページ足らず。それだけ完璧な展開で、深い余韻を残します。

暖かくも哀しい人の想いに涙が出てきます。やはり、さだまさしは天才なんだなあ。


朴竜文庫 1 (ヤッさん2 神楽坂のマリエ)

2016年02月09日 | 朴竜文庫
昨年夏、一時職を失った時の手慰みで「ぷー太郎のお薦め文庫」をアップしていました。

今は「ぷー」ではないので「朴竜文庫」と改題してネタ切れを回避していきたいと思います。

そして今回は以前紹介した私の大好きな作家のひとり「原宏一」の「ヤッさん」と最近文庫化された続編「ヤッさん2(神楽坂のマリエ)」の宣伝をちょっと。



実は続々編は既にハードカバーで出版されていますが、文庫化はまだ先。楽しみに待っている次第。カテゴリーで言えば「人情グルメ小説」ってとこでしょうが、やっさんのほか、一部ではタカオとみさきちゃん、続編ではマリエが主人公の物語。

「原宏一」の食に関する情報量の凄まじさ、素敵なキャラクターの設定、ストーリーの組立て方、本当に楽しい楽しい作品です。舞台は銀座などの都内で、皆さんが知っている場所がたくさん出てきます。本当に楽しい作品ですので、是非読んでみてね。