山口さんと一緒に四国は愛媛県の第一地銀に出張した時のことです。
本人によれば、なんでも、山口さんは前職時代に随分と面倒をみた先で、山口さんとの取引に前向きとのことで、期待の持てる出張と思っていたのです。
ところが、いざ応接室で担当者と向き合うと、「山口さん、それ本当の話?本当に面倒みて感謝されていたのかよ?」と疑いたくなるほど冷たい態度です。
テーブルを挟み刺々しい雰囲気がひしひしと伝わってきます。
それはいくら空気を読めない山口さんでも分るほどのもの。
話題に詰った山口さん、話を盛り上げようとして
「あ、私、四国銘菓の『一六モルト』大好きなんですよ。あれ、美味しいですよねぇ。『一六モルト』」
と媚びるように『一六モルト』を連呼する山口さん。
それに応えるように表情が徐々に厳しくなる担当者。
さて、散々な目に合って、松山空港に向かうふたり。
タクシーの中では
「いやいや、参ったぞ!あんな態度取られて。びっくりしたぞ!」
と分る分るその気持ち。
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それでも「いやいや、『一六モルト』は美味しくてびっくりするからお土産に買っていきなさいよ!」と煩いくらい。
「モルトってウイスキーですか?愛媛ってウイスキー有名でしたっけ?」
「朴ちゃん。何言ってるの?『モルト』だって!」
「だからウイスキーでしょ?」
と話が繋がりません。
で、空港へ着いてお土産屋に直行すると山口さん。
「いやいや、お姉さん。この方に『一六モルト』を見せてやって!」と得意気です。
そして店員さん
「それって『一六タルト』のことですか?」
「え?『モルト』じゃないの?いやいや、びっくりしたぞ!」
はい、みんなあなたにびっくりしてますってば!