それは山口さんと長野県の有名な地方銀行を訪ねた時のこと。
広々とした重厚な応接室に通されて担当者を待つこと暫し。
生来落ち着きのない山口さんは所在なさげにキョキョロと部屋を見渡します。
そして立派なテーブルにある備え付けのライターとクリスタルの入れ物に入ったタバコを発見!
「朴ちゃん。このタバコ吸ってもいいと思う?」
「まあ、吸うために置いてあるんでしょうけど、我々は彼らの客ではないし、逆に客になって欲しいわけですから、普通は吸わないでしょうね。」
「朴ちゃん、私も吸うから朴ちゃんも吸いなよ。」
「いえ、それは先方に失礼だから私は吸いません。」
「え~!じゃあ私一人で吸っちゃうよ。お言葉に甘えて!」
「山口さん!誰のお言葉に甘えてるんですか?止めてくださいよ。失礼ですって!」
あ~吸っちゃった吸っちゃった。
また自分のお金じゃないと美味しそうな表情をするんですよこれが。
一本吸い終わっても担当者の来る気配はナシ。そうなると山口さん調子に載っちゃって
「お言葉に甘えてもう一本!」
「だから誰も吸っていいと言ってないでしょう!」
「いやいやもう一本!」
と結局担当者が来るまでに3本の貰いタバコをした上に、2~3本を自分のタバコ入れにしまう次第。
そして、担当者がようやくやって来た頃には部屋はタバコの煙が充満する始末。
担当者は入ってくるなり我々を通り過ぎて大きな窓を開け放ち、煙が外に逃げたのを確認してから、たいそう慇懃無礼に名刺の交換に応じたのでした。
あ~あ、またやっちゃった山ちゃんなのでした。
銀行を辞して直ぐに「山口さん。担当者怒ってたじゃないですか!どうしてタバコを吸うんですか!もういい加減にしてくださいよ!帰りは私一人で帰りますから!」
「え?なんで朴ちゃん怒ってるの?びっくりしたぞ!しかし、向こうの担当者の態度は失礼で参ったな!」
いやはや、こんなようでなければ生き延びれないんですね。やっぱり。
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