*****ご注意 一部ネタバレを含む可能性があります *****
中山作品の人気シリーズのひとつ ヒポクラテスシリーズの第4作
死体の声を聞く、法医学室を舞台としている。
法医学の権威で 主人公真琴の指導医である 光崎教授宛に犯行予告。
自然死にしか見えない形で殺人を犯すが、果たして光崎教授は解剖で自然死ではないと解明できるかというもの。
このため、埼玉県警の刑事・古手川は通常なら老衰・病死・事故死として処理する事案を疑い、解剖懸案として依頼、真琴も必然的に真相解明に巻き込まれるというもの。
それぞれの事件も社会問題を含み、ありえそうな事案で、犯行予告の犯人も最終的に判明する。
エンターテイメント小説、法医学ミステリーとして面白い作品
個人的には、本作品の最初に「ヒポクラテスの誓い」が紹介されていて、その内容に紀元前に生きていたヒポクラテスの聡明さ・先見性に恐れ入ってしまった。
また、熱中症で死亡した場合、筋肉を構成している骨格筋細胞が高熱により溶け出し、筋細胞内の成分が血液中に流れ出す(横紋筋融解症)が、これは体表面からは分からず、解剖で判明する箇所も印象的だった。
重度の熱中症だとどんな影響・後遺症が起こるのだろう
初出 小説NON 2018年6-7月号~2019年2-3月号
令和3年5月20日 初版第1刷発行
装丁 高柳雅人 装画 遠藤拓人
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