*****ご注意!!!一部ネタバレの可能性があります!*****
1970年代、軽井沢にある村井設計事務所の「夏の家」を中心舞台に、入所間もない「ぼく」の視点で描かれる
「夏の家」は東京・青山に事務所を構える村井設計事務所が夏に仕事場として滞在する別荘だ。
スタッフはひと夏を「夏の家」で、自炊をし、自然に触れ合い、仕事をする。
淡々と進むストーリーは、当時の軽井沢の風景を描写するだけで清涼感を感じさせるだけでなく、軽井沢別荘地の成り立ちに触れたり、そこに別荘地初期の住人からの歴史があったり、別荘ライフを守ろうとする人たちの思いが見え隠れする。
一方、「ぼく」の入所した年に村井事務所は「国立現代図書館」の設計という大きなコンペに参加することになる。
コンペ参加は所長の村井にとっては珍しい決断で、それ故スタッフも熱意をもって設計にあたる。。。
村井の建築家としての実績・評価が建築作品とともに語られる箇所は建物の中に誘われていく感じだった。
村井所長と設計事務所は建築家 吉村順三とその事務所がモデルと言われています。
他にも、「夏の家」がある青栗村は「大学村」で、コンペの最大のライバル船山は丹下健三と。
かなり前に読んだ(そして当時は人気本だった)「南仏プロヴァンスの12か月(ピーターメイル著)」からを思い出した
あの本は料理がテーマだったけど、南仏の日常を淡々と綴っていながら、読後感が爽やかな作品だった。
もう廃版かしら(中古品しか見当たらず、リンクは電子書籍)