興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

大きなYesのために大切なNo

2014-09-02 | プチ臨床心理学

 皆さんこんにちは。ご無沙汰しております。いかがお過ごしでしょうか。

 早いもので9月に入りました。季節の移り変わり目、夏休み明けなどで、気持ちに切り替えが何かと難しい時期であり、多くの方にとって、体調管理はもちろん、こころの管理にも注意が必要な時期であります。もちろん、体調管理とこころの管理は密接に繋がっております。新しい環境への適応、リラックスした休暇からの会社、学校などの元の環境やスケジュールへの適応などで、知らず知らずのうちにストレスを感じていて、そこに最近の予想不能な天候と温暖差などが加わり、気付いたら喉が痛くなっていた、風邪をひいてしまった、という方も多いと思います 

 さて、こうした新しい季節に臨んで、今回のタイトルは、『大きなYesのために大切なNo』です。

 これは以前ここでも触れたBoundaries, 境界線にも通じる話ですが、ひらたくいうと、私たちは、人間関係において、誰かからの誘い、依頼、要求において、常に良い返事をして受け入れるわけにはいかず、必要に応じてきちんと断らなくてはならない、ということです。

 なぜなら、すべてにおいて、Yesと返事をしていると、時間の問題であなたのリソースの限界がやってきて、最初は快く受け入れていた誘いや依頼も、徐々にこころの負担、ストレス源となってきて、やがては頼んできた人に対してネガティブな感情を抱くようになったり、自分にイライラしたりして、こころに支障がでてきます。「いや、私は大丈夫」、と、すべてを受け入れて、足りなくなった自分のための時間を捻出するために睡眠時間を短縮したりして頑張っているうちに、体を壊してしまう方もいます。

 私たちの人生は、みんな平等に24時間しかなく、そこには人それぞれの人生における優先順位というものが存在し、そこには人それぞれの生活というものがあります。自分にとって、何が大事で、何が大事でないか、きちんと認識する必要があります。

 そして、今の自分に、時間的、体力的、精神的、金銭的に、どれぐらいのゆとりがあるのかも把握している必要があります。こうしたあなたのリソースに合わせて、必要に応じて断ること、Noということが、何かもっと大事なことにおいて、選ぶこと、Yesということが可能になります。

 断ることに伴う罪悪感が強く、ついつい何でも受け入れてしまうことで、いざというときにリソースが残っておらず、不本意にも、本当に選びたかったこと、受け入れたかったことを断らなくてはいけなくてさらに強い罪悪感、自己嫌悪に陥る方が世のなかには少なからずいます。

 これはとても悲しいことです。その人の他者を受け入れる良い人柄が、結果として負に働いてしまうのです。こうならないためにも、普段から、ものごとの優先順位を意識して、あまり重要でないこと、興味がないこと、頼んでくる本人にもできそうなことなどには、Noという必要があるのです。Noということが、必ずしもその人を拒絶することにはなりません。選んで断ることが、逆説的に、相手をより深い意味で受け入れることに繋がります。

 


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