さいたま市北区にある盆栽村は大正12年の関東大震災で
大被害をうけた都内の根津駒込エリアの盆栽業者が
この地に移転して来て、大正14年、開村した歴史を持つ。
文京区大和郷(やまとむら)を参考に町づくりをしたと
言われている。だから碁盤の目の広い道路を造った。
盆栽村のセンターにある「盆栽四季の家」。盆栽園を
訪れた市民のくつろぎの場として、昭和59年に建てられた。
最盛期に34軒あった盆栽園も、現在は5軒に
減ってしまった。この地が選ばれた理由には3つある。
①広大な土地が確保できた。②地層が関東ロームの為
盆栽に必要な良好な赤玉が取れた。③地下水が豊富であった。
この街を造るにあたって幾つかの約束事があった。
まず10鉢以上の盆栽を持つこと。敷地は一定の大きさの
土地で垣根は生垣にすること。(陽当たりを良くし、火事が
あった時は延焼を防ぐ為)。そして二階建ては建てない。
そんな規制から現在も素晴らしい環境を守っている。
一番古い蔓青園の入口看板。
そして玄関、純和風の門構えで趣きがある。
園内に並べられた盆栽。高い台に皆置かれているのは
虫がつかないようにだそうだ。
蔓青園の宝物。樹齢2000年と言われている真柏。
先代にこれは絶対に譲るなと言われている逸品。
清香園の玄関。とても整備されていて、凛とした空気が
流れている。
こちらは今話題の人、園主のお嬢さん山田香織さんが
彩花盆栽を教えている。彼女はNHK「趣味悠々」の講師だ。
私が大好きな丁度紅葉したけや木の盆栽。盆栽の正しい鑑賞の
仕方は、小人になったつもりで、木の高さより目線を
やや低めに落とし下から見上げるように眺めると
自然の中にいるような感じになる。
山茶花。盆栽には前と後があり、頭が前に
垂れている方が正面である。
盆栽村内にある、市立漫画会館。さいたま市ゆかりの近代
漫画の先駆者「北沢楽天」の晩年の居宅跡に、昭和41年
建てられた。日本初の漫画に関する美術館です。入館料は無料。
北沢楽天(1876~1955)は、外国人向けの英字新聞社で
西洋漫画の手法を学び、当時「ポンチ絵」「おどけ絵」と呼ばれ
評価が低かった風刺画を近代漫画として確立させました。また
「時事漫画」や日本初のカラー漫画雑誌「東京パック」を
創刊し、明治から昭和にわたり、庶民の生活や世相を
ユーモラスな漫画で表現し、日本の職業漫画家の先駆者
として活躍しました。
北沢楽天が、晩年過ごした画室。楽天の愛用品。
作品の展示や年数回の企画展示を開催し、漫画文化の普及につとめている。
開館記念に画かれた手塚治虫、小島功、藤子不二雄、富永一朗など
著名な作家の寄せ漫画。
ちょうど行った時、「松本零士展」という企画展が行われていた。
松本零士氏の作品は「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」など
漫画・アニメ史に残る名作がある。
最後に訪問した「藤樹園」。こちらは1966年から
盆栽教室を開催している。園主の浜野博美氏は
フランクで話がわかりやすく素晴らしい方だ。