100分de名著 『いのちの初夜』北條民雄
第4回 絶望の底にある希望
「いのちの初夜」は文豪・川端康成によって見いだされ雑誌「文學界」に掲載、文學界賞を受賞し芥川賞候補ともなった。
一躍時の人となった北條だが、世間からは「ハンセン病作家」「ハンセン病文学」というセンセーショナルな受け取られ方しかされない。
その上、北條は二つの危機に見舞われる。症状の進行により将来書き続けられなくなるのではないかという危機と、同じ患者たちの反応が芳しくなく反発を受けていたという危機だ。
施設での厳しい検閲も相まって北條の足場は揺らぎ続ける。だが、それら危機の自覚に導かれ、患者の「断種問題」に踏み込んだ傑作が結実する。
第四回は、さまざまな危機に直面しながらも、そのせめぎ合いの中で生きる意味を求め続けた北條の姿を通して、降りかかる困難の意味を深めゆく人生のあり方を学ぶ。
北條民雄(1914-37)は19歳でハンセン病の宣告を受け全生病院に入院してから僅か三年半で夭折した。
隔離された療養所で様々な差別・偏見に抗しつつ身を刻むようにして記された彼の言葉は絶望の底から復活する生命への切望を証しする文学であった。
川端康成によって見出されたこの稀有の作家の文章を、小説、童話、随筆、書簡、日記から精選する。
Dinner/Nocturne - Yo Yo Ma plays Ennio Morricone
索引 100分de名著 ②
索引 『いのちの初夜』北條民雄
100分de名著 『いのちの初夜』北條民雄 第1回 せめぎ合う「生」と「死」 「81」
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