索引 『ドリトル先生航海記』
数十か国で翻訳され、世界中で大人から子どもまでに愛されている児童文学があります。
「ドリトル先生航海記」。もともと無名だったヒュー・ロフティング(1886– 1947)が、戦場から二人の子どもに向けて贈った絵物語がもとになった児童文学シリーズの一冊です。
「人間は自然や動物とどう関わったらよいのか」「公平なふるまいの大切さ」「科学する好奇心の素晴らしさ」といったさまざまなテーマを、
ユーモアあふれる冒険物語を通して見事に描き出したこの作品から、現代人にも通じる生きるヒントを読み解いていきます。
舞台はイギリスの水辺にある田舎町パトルビー。
貧しい家で育った少年トーマス・スタビンズは、ひょんなことから博物学者ドリトル先生と出会います。
ドリトル先生は動物の言葉を使いこなし、家事を担当するアヒルのダブダブ、番犬のジップ、知恵袋のオウム・ポリネシアらと家族のように暮らしています。
その豊かな博識と温かい人柄に憧れたスタビンズは、両親を説得しドリトル先生の助手に就任。
ときあたかも南米から帰還した紫ゴクラクチョウから、ドリトル先生が深く敬愛する博物学者ロング・アローが行方不明という知らせが届きます。
アローの生死はわからないままですが、ドリトル先生、スタビンズ少年、動物たちのチームは、彼が消息をたったクモザル島へ一大航海を敢行することに。行く手に立ちはだかるのは数々の困難。
果たして、ドリトル先生一行は、アローを救出することができるのでしょうか?
「ドリトル先生航海記」を読んだことが生物学者を志すきっかけになったという福岡伸一さんは、この作品が単なる「児童文学」にはおさまらない魅力に溢れているといいます。
自然や動物たちとの共生のあり方、人間として大切にしなければならない公平なふるまい、創造力の源である好奇心の大事さなど、生きる上でのヒントが満載で、大人も読んでほしい作品だというのです。
生物学者の福岡伸一さんにロフティングの最高傑作「ドリトル先生航海記」を新しい視点から読み解いてもらい、ドリトル先生たちと冒険の旅を楽しみながら、さまざまな知恵や豊かな生き方を学んでいきます。
HAUSER - Gabriel's Oboe