井上しんごの議会報告 白島石油備蓄基地視察編②
7月26日に、共産党市議団で若松沖8キロにある白島国家石油備蓄基地を視察し、私の報告記を前号で紹介しました。その後、この白島問題に長年関わってこられた関係者の方から、これまでの闘いの歴史と、白島建設の背景を知ってほしいとの意見が寄せられました。「北九州市政の腐敗の構図」(昭和57年発行)を拝見し、議員団の過去の質問等を見る中で、私自身、認識を新たにし、以下報告します。
白島基地の喫緊の問題は、東日本大震災クラスの地震や津波が起きた場合、堤防の破壊によって、北九州港及び日本海への原油流出の危険性をはらんでいるという点
党市議団は、8月30日に東京に飛び、白島基地の地震・津波による危険性について、白島基地を監督する政府と交渉をしました。訪問団はまだ帰ってきていませんので、詳しい政府交渉の中身は、後日ご報告します。白島視察で現地の案内と、説明を担当したのは、監督する政府系機関である、(独立行政法人)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)で、全国10ヶ所の国家石油備蓄基地を統括する、石油備蓄部の部長さんと、機構から基地の管理業務を委託している白島石油備蓄基地株式会社の責任者の方たちでした。部長さんは党市議団の視察のために、東京から来られたそうで、視察は緊張感の中で行われました。私達の視察は、日本の石油消費量の9日分(560万キロリットル)を所蔵している、巨大な8つの貯蔵船の現物を見ることと、その安全対策についてでした。東日本大震災で、私達は想定を超えたすさまじい惨状を目の当たりにしました。国の津波予測の想定を超えた被害に、政府自身その見直しと対策が迫られています。これまで、日本海側では大規模な津波は来ないことを前提に、市の防災計画などが作られてきました。しかし、そうした防災計画は、国や市においても、見直さざるを得なくなっています。そして、東日本大震災クラスの地震や津波が、もし日本海周辺で発生した場合、白島基地の安全性は守られるのかということが、現実の問題として浮かび上がってきました。その一つ、地震による埋立地の液状化で防波堤が決壊するような事態の対策について、担当者は「今後の課題である」と述べました。また、現在の防波堤は主に台風による高潮を想定して、設計されていますが、大津波の場合の対策についても、「今後の課題」としています。いずれにしても国の対応が決まっていないためです。白島基地の泊地内は、波のない静穏な状態を保たなければならず、回りを防波堤で囲っています。その防波堤も北側は消波ブロックが積まれていますが、東側は貯蔵船の出し入れを想定していたために、消波ブロックはなく、幅11.5mの重力式ケーソンのみです。堤防の決壊で、泊地内の静穏性が保てなくなった場合、貯蔵船がぶつかりあい、船の破損による原油流出が懸念されます。現状の原油流出防止対策は、船体の2重構造及び、第一次防油提と第二次防油提(堤防)で、流出を防ぐとされていますが、それも泊地内の静穏性が大前提です。今後、東日本大震災クラスの地震・津波が発生した場合、現状の対策では、安全性を担保できないという、今日的課題が突きつけられています。いずれにしても、未だに政府が対策を示していないことが問題で、安全確保が不可能な場合は、市の占有許可を取り消し、基地の撤去も必要であると考えています。