私は、議案第121号令和3年度一般会計補正予算について反対の立場で討論します。
北九州市は学校における感染拡大予防対策事業として、2億720万円の予算案を提出しています。内容は、小、中、特別支援学校における児童生徒の新型コロナウイルス感染拡大防止を図るためのPCR検査に要する費用と、3歳からの幼稚園、保育園、学校へ、一律一人30枚のマスク配布費用としてです。
私は宿泊行事前や、部活動の試合前に一斉に行われる児童生徒へのPCR検査によって、子ども達、保護者に混乱をもたらし、新たな分断や差別につながってはいけないと考えています。市は、PCR検査は強制ではなく、保護者の意向を確認して、希望者のみに行うとし、検査を受けないからと言って、修学旅行等への参加のチャンスを奪うものではなく、たとえ陽性者が出た場合は、行事を延期するなど、全ての子ども達が参加できるよう配慮するとしています。
しかしながら、検査を受けた子、受けない子、受けてPCR陰性だった子、PCR陽性だった子が混在し、一回目の検査でPCR陽性者が出た場合の、医療機関での再検査の依頼や、学校行事の延期の可否の検討、2回目の検査が陽性だった場合の対応、延期をした場合の保護者説明など、この事業を行うにあたっての学校や教職員の負担は計り知れないものがあります。
日程をやりくりして延期できたとしても、検査結果が全員陰性となり、行事を行える保証はありません。また部活動の公式戦は延期すること自体が困難です。
これまでも、学校行事や部活動への参加については、事前に体調チェックを行い、発熱等の症状がある場合は、当然大事をとって参加を見合わせており、現状行っている、感染拡大防止対策で十分であると考えます。修学旅行や公式戦前に、自らが行う体調管理も、また教育の一環です。
一方で、PCR検査を希望する保護者に、検査の機会を確保するという市の考えも理解できます。であるならば、そのことに徹し、全員一律でなく、あくまで希望者の方に、検査の機会を確保するということを軸にすることを求めます。
また、検査が保護者の希望である以上、学校の希望も聞いてもらいたいと思います。小規模校などでの学校の負担を考慮し、検査を行うかどうかの学校の判断を尊重すること。加えて、今回のご提案が、8月、9月上旬の感染急拡大を受けての措置であり、市内感染者数が数名で推移している今日において、将来の爆発的な感染拡大期に備えて予算はとってはいるものの、現実の感染状況を踏まえて、執行するかどうかの現実に即した柔軟な取り扱いを求めるものです。
次に、マスク配布については、希望しない児童生徒も含め、一律に配布することの必要性は感じません。また、3歳以上の子ども達に不織布マスクを配布するとしていますが、幼稚園・保育園児、低学年の児童になればなるほど、マスク着用による酸欠などの健康にたいする影響の方が心配されます。
10代の子ども達の重症化はほとんど報告されておらず、ましては3歳、4歳、5歳児などの幼児では感染すらもほとんどありません。子ども達へ健康への影響をしっかりと考え、子ども達への一律の対応については厳に慎重を期すべきです。
以上、現実の感染状況、子ども達への健康への影響などを考慮し、世間の潮流に流されずに、堅実な対応を求めるものです。たとえ、世間に恥じても、子ども達へ恥じない、どんと構えた行政を求め、ニューユーに示された、すべての人のチャンスを守り、個人の意思を尊重する多様性が華やく北九州市になることを願い、討論を終わります。